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富山大学附属病院の先端医療

Q:広がるリハビリテーション診療の役割-リハビリテーション

富山大学附属病院の先端医療

リハビリテーション科

Q:広がるリハビリテーション診療の役割-リハビリテーション

服部憲明/特命教授

Q:リハビリテーションとは何ですか?

A:病気やけがにより、身体的機能や精神的機能が低下したとき、これらを回復させるのが医療としてのリハビリテーションです。これまでは、「障害」に注目し、その克服ということが強調されてきましたが、最近は、これをさらに発展させて、ヒトの営みの基本である「活動」に注目し、日常の活動、家庭での活動、社会での活動を再び取り戻すことを目指すようになっています(図1)。そのためには、障害そのものに対する治療だけでなく、患者さんが持っている能力をさらに高めたり、装具や器具などを利用したり、住宅改修などで環境を改善するなど、さまざまなアプローチを組み合わせて取り組みます。

リハビリテーション診療は、患者さんやご家族を中心に、主治医、リハビリテーション科医、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、義肢装具士、看護師、管理栄養士、薬剤師、社会福祉士/医療ソーシャルワーカー、介護支援専門員/ケアマネジャー、介護福祉士、歯科医などさまざまな職種のスタッフが1つのチームとなって進めていきます。(図2)

リハビリテーションは、薬の内服や手術と違い、患者さんが主体的に取り組むことで、よりその効果が発揮されます。したがって私たちは、患者さんに、安全に、楽しく、しっかりとリハビリテーションに取り組んでいただけるように努めています。

Q:どんな患者さんがリハビリテーションをうけますか?

A:活動が低下する病気やけがの患者さんが、リハビリテーション診療の対象になります。したがって、骨折、リウマチ、関節の加齢による変性などの整形外科疾患、脳卒中、パーキンソン病などの脳神経疾患、がん、小児疾患、心不全などの循環器疾患、慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器疾患、糖尿病、肥満症、さまざまなけがなど、非常に多岐に及びます。もちろん、活動が低下する原因は、病気やけがの種類によって異なりますので、主治医とリハビリテーション科医、療法士が連絡をとりあい、患者さんごとに適した治療を行います。

Q:いつからリハビリテーションを始めるといいのですか?

A:かつては、例えば脳卒中で麻痺になると、しばらく安静にして症状が落ち着いてから、本格的にリハビリテーションを始めていました。また、病気で体力が消耗していたり、大きな手術の後であれば、十分に体を休めて、気力、体力が戻ってから、リハビリテーションを始めたほうがよいと一般的に考えられていました。しかし、最近の研究で、脳卒中であれば、できるだけ早い時期からリハビリテーション治療を開始することが、機能回復によい影響をもたらすことが分かってきました。

また、安静は、体力を養うのに大事な療養のステップと考えられていましたが、安静にしていること自体が、体にさまざまな良くない影響を与え、回復を遅らせることが分かってきました。したがって、重い病気や手術などの後で、ゆっくりと安静に過ごしたいと思っておられる状態でも、過度の安静は禁物です。主治医の先生の了解が得られれば、少しずつでも構いませんので、リハビリテーション治療を始める方がよいのです。

当院でも、脳神経外科・脳神経内科病棟に「サテライトリハ室」を2部屋設け、患者さんがリハビリ室まで行かずに、病棟でリハビリを受けられるようにしています。少しでも早く、ベッドからの離床を進め、積極的な訓練を行うことができる体制を整えています。

参考:リハビリテーション医学・医療 コアテキスト 医学書院

一言メモ

リハビリテーションの語源
リハビリテーションrehabilitationという言葉は、re(再び)+habilis(適した)+action(すること)からきています。医療の分野で用いられるようになったのは、第一次世界大戦後の戦傷者の社会復帰などが最初とされています。その後、リハビリテーション医学の概念は広がり、現在では、病気やけがで低下した、人の営みの基本である「活動」をもう一度高めるために、多くの専門職が取り組む医療を意味するとされます。

図1:私たちのさまざまな「活動」

図1:私たちのさまざまな「活動」

図2:リハビリテーション診療をおこなう多職種チーム

図2:リハビリテーション診療をおこなう多職種チーム

0〜9

A〜Z

あ行

か行

さ行

た行

な行

は行

ま行

や行

ら行

わ行