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富山大学附属病院の先端医療

Q:AIDS (エイズ)の最新治療―AIDS(エイズ)

富山大学附属病院の先端医療

感染症科

Q:AIDS (エイズ)の最新治療―AIDS(エイズ)

宮嶋友希/診療助手、 鳴河宗聡/診療教授、 山本善裕/教授

Q:HIVとAIDSは違うのですか?

A:HIVは、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)というウイルスの頭文字をとった略称です。このウイルスは、人間の免疫力に重要なリンパ球(CD4陽性細胞)に感染し、破壊していきます。

AIDSとは、後天性免疫不全症候群(Acquired Immuno-Deficiency Syndrome)という病気の略称です。

HIVに感染すると、CD4陽性細胞が徐々に減って免疫力が低下します。そして、普段は感染しないような病原体にも感染しやすくなり、さまざまな病気を発症してしまいます。代表的な23の病気が決められており、HIV感染者がそれらの病気を発症した時点でエイズと診断されます。

Q:HIVはどうやって感染するのですか?

A:HIVは感染した人の血液や精液、膣分泌物、母乳などに存在します。粘膜同士の接触(性行為など)や授乳、注射針やピアスの使いまわしで感染する可能性があります。この中でも性行為による感染が多く、不特定多数の相手との性交渉は避け、コンドームを適切に使用することが重要です。また、歯ブラシやカミソリの共有も止めましょう。

唾液や汗、痰、尿、便に基本的にはウイルスはいませんので、日常生活や軽いキス、介護などで感染することはありません。しかし、口内炎があるときは出血の危険がありますので、ディープキスやオーラルセックスで感染する可能性があります。

「HIV感染者は子供を作ることができない」と考えている方がいらっしゃると思いますが、医師と相談しながら計画的に妊娠・出産することも可能です。ちゃんと薬を飲んでウイルスの量を抑える、帝王切開で出産する、授乳しないなど、注意する点はありますが、子供への感染をほぼゼロにすることができます。

また、過去に薬害エイズ事件という出来事がありました。血液製剤という薬は、ヒトの血液を材料に製造されていますが、残念なことに過去に販売されていた血液製剤の中には、薬の中にHIVが混入したまま患者さんへ使用されたものもありました。そのことが原因で、多くのHIV感染者・エイズ患者を生み出してしまいました。現在の血液製剤は、安全性が確立された状態で販売されております。

Q:エイズは不治の病と聞きましたが、感染すると死んでしまうのですか?また、治療法はあるのですか?

A:エイズという病気が発見された頃は、有効な治療法がなく、残念ながら亡くなってしまう方がたくさんおられました。今は、HIVに対する新しい薬がどんどん開発されており、エイズを発症する前に、免疫力の低下を防ぐことが可能です。また、エイズを発症してしまった方でも、薬による治療を開始すれば、ある程度免疫力が回復します。薬を飲みながら通常通りに仕事や趣味を楽しむことができ、70代、80代でも普通に生活している方がいらっしゃいます。過去には、1日に飲む錠剤が10粒以上になることもありました。当時は、飲むタイミングも細かく決められており、患者さんにとって大変な治療でした。現在は、複数種類の薬が1粒に含まれており、その1粒だけで治療ができるようになりました。

当院は、富山県内のエイズ治療拠点病院の1つです。HIV感染症以外の合併疾患のある患者さんに関しても、それぞれの専門家と連携しながら治療を行っています。

一言メモ

  1. HIV、エイズのことを正しく理解することが大切です。
  2. 一人ひとりが気をつけることで、HIVの感染を防ぐことができます。
  3. HIVに感染すると免疫力が落ちます。感染した後も、マスクや手洗いなどの基本的な感染対策は徹底しましょう。
  4. 当院の感染症科ではHIV感染症、エイズの治療、さまざまな感染症の診療を行っております。
図1: 新規HIV感染者および新規AIDS患者の年次推移

(出典) 厚生労働省エイズ動向委員会: 2020年エイズ発生動向年報より作成

図1: 新規HIV感染者および新規AIDS患者の年次推移

(出典) 厚生労働省エイズ動向委員会: 2020年エイズ発生動向年報より作成

図2: HIV感染者およびAIDS患者の累計報告数

(出典)厚生労働省エイズ動向委員会: 2020年エイズ発生動向年報より作成

図2: HIV感染者およびAIDS患者の累計報告数

(出典)厚生労働省エイズ動向委員会: 2020年エイズ発生動向年報より作成

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