富山大学附属病院の先端医療
Q: 持続血糖測定(CGM)による最適な糖尿病管理―糖尿病
朴木久惠/診療講師、 中條大輔/診療教授
Q:CGM(持続血糖測定)外来では何ができますか?
A: CGM(シージーエム)とは、Continuous Glucose Monitoringつまり、持続血糖測定の略称で、数日間継続して血糖値を測定することです。血糖測定は普通、自己血糖測定器という機器を用いて、食前、食後、就寝前などに自分で指先などを穿刺して測定します。以前までは血糖値は測定したときの値しか分からず、測定間の血糖の変動は不明でした。最近では、お腹(なか)や腕などに専用のセンサー(電極)を装着し、約2週間連続した血糖変動を測定・記録する機器が登場しています。(写真1)。
このセンサーは、皮下間質液中のブドウ糖濃度を持続的に測定し、昼夜を問わず血糖の変動を5分ごとに集計し記録します。この方法によりHbA1c(1~2か月前の血糖の平均値を表す数値)や自己血糖測定では分からなかった高血糖や低血糖、血糖の変動幅などが分かるようになりました。医師だけでなく患者さん自身も自分の血糖の変動を見ることができ、納得された上で治療を受けることができます。この方法は約2週間の一定期間センサーを装着し、グルコースの変動を見ることのできる機器は医療者が持ち、受診時にまとめて出力する短期間のタイプのものと、グルコース値を見ることのできる機器を患者さん自身が持ち食事や運動、薬物による血糖値への影響をリアルタイムに確認し、継続的に使用できるタイプのものがあります。
当院では、基本的にセンサーの装着中は、食事や運動など、自分の活動を用紙に記載していただきます。センサーのデータが出たときに記録用紙と照らし合わせ、薬剤の影響や食事、運動の効果などを実際に比較し、低血糖や高血糖を確認し、一人ひとりに合った治療法を実践できることが大きな特徴です。
そしてそれぞれ特徴があり、その人にあった検査方法を選択します。
Q:どのような方が、この機器の使用が考慮されますか?
A:CGMを装着したらよいと思われる方は、①インスリンを使用していても血糖変動が大きい方、②食事や血糖によってインスリンの量を決めて治療をしておられる方、③血糖の変動と食事や運動などの生活の変化の影響を理解する必要のある方、④治療内容の確認が必要な方、⑤低血糖が疑われる方、⑥シックデイのときなどが考えられます。
なお、患者さん自身が継続的に使用するタイプのCGMは、インスリン治療中の方が適応となります。
Q:CGM外来は今後どのように発展していきますか?
A: 持続血糖測定により得られたデータによって、実際には分かりづらかった運動療法、食事療法の効果や、使用する薬の効果を主治医、患者さんが視覚的に捉えることができ、お互いに納得してよりきめ細やかな治療、血糖変動の正常化を目指すことができます。
間歇スキャン式CGMでは①2週間測定できる、②自己血糖測定による補正が不要であること(血糖測定がいらない)、③センサーにレシーバをかざすだけで血糖の変動が分かります。
さらにリアルタイムCGMは(写真2)、①自らセンサーにかざす等を行わなくても血糖変動を表示し、高血糖時や低血糖時にお知らせする機能、②自己血糖測定による較正が不要で血糖変動が正確に表示できる機能が進化している機器が登場しております。③データがより正確になり、さまざまな解析方法が増えました(図1)。最近はモニターだけでなく、専用アプリをインストールしたスマホなどの汎用デバイスに送信されるタイプのものが出現し、そうなると家族も血糖変動を確認することができるようになり、その方の血糖変動を見守ることができます。(写真3)
このようなアラーム機能を有した機器を用いることで、自己血糖測定を使用している方と比較して、平均HbA1c、低血糖時間、高血糖時間が改善したとの報告もあります。
自己血糖測定を使用したことのない糖尿病内服治療の方からインスリン治療を受けている方まで、より一層幅広く、きめ細やかにご利用いただけるものと思います。ただし、保険適応の基準についてはお問い合わせください。
一言メモ
- CGMの活用により、連続して血糖値の変動を把握できます。
- 患者さんが血糖変動を理解し、より良好な血糖コントロールを目指すことができます。
- 当院では一人ひとりの血糖変動を理解し、オーダーメイドの治療を心がけています。
0〜9
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