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富山大学附属病院の先端医療

Q:腎臓移植―末期腎不全

富山大学附属病院の先端医療

透析部、泌尿器科

Q:腎臓移植―末期腎不全

透析部 山﨑秀憲/助教、 泌尿器科 北村寛/教授

Q:腎臓移植(腎移植)とは、どのような治療ですか?

A: 腎臓の働きが悪くなり、回復しない状態を末期腎不全と呼びます。末期腎不全の患者さんには腎臓の働きを替わりに行う治療、すなわち「腎代替療法」が必要となります。腎代替療法には大きく「透析療法」と「腎移植」に分けられます。

腎移植は、提供を受ける腎臓が健康な親族の方からか、お亡くなりになられた方からかによって、さらに「生体腎移植」と「献腎移植」に分けられます。透析療法は、腎臓の働きの一部を肩代わりする治療ですが、腎移植では失った腎臓の機能を回復させる治療法で、末期腎不全に対する唯一の根治療法です。そのため、健康な人とほぼ同等の生活を送ることができるようになり、女性の場合は、妊娠や出産、小児の場合は、成長や発育が期待できるようになります。ただし、提供頂いた腎臓を長期に生着させるためには、拒絶反応(他人の臓器を排除しようとする体の反応)を起こさないよう、免疫抑制薬を毎日欠かさず内服し、生活習慣病にかからないよう食生活などに気をつける必要があります。

Q:腎移植手術はすぐに受けることができますか?

A: 生体腎移植では、腎提供者(ドナー)および、受腎者(レシピエント)ともに活動性のある感染症やがん、全身麻酔手術に耐えられない病気がないことなどを入念にチェックされ、また、レシピエントのワクチン接種が完了した上で、手術日が決定されます。初診時から手術まで、最低でも半年を要します。献腎移植は、ドナーが突然発生するため、緊急手術となります。そのため、常日頃から体調管理をしっかりしておくことが大切です。

Q:腎移植手術はどのような手術ですか?

A: まず、ドナーの方から左右どちらかの腎臓を採取します(ドナー腎採取術)。当院では腹腔鏡を用いて、少しでも腎提供者の体の負担が軽くなるよう努めています(図1)。

腹腔鏡下ドナー腎採取術には、傷が小さく体への負担が軽い、術後早期に回復する、体の奥深くでも執刀医をはじめ複数の医師で術野を確認できるなどのメリットがあります。採取した腎臓は、レシピエントの下腹部に血管と尿路をつなぎ合わせて移植します(図2)。ドナーの方の入院は約1週間、レシピエントの方の入院は、術後の薬剤の調節などが必要なため、約1か月間要します。退院後も、ドナーおよびレシピエントの方ともに、定期的に通院いただき、腎機能が保たれるよう努めます。

Q:血液型が異なっても腎臓移植は可能ですか?

A:可能です。一昔前までは、例えばA型からB型の人への移植「ABO血液型不適合腎移植」は、激しい拒絶反応が起きるため禁忌とされていました。最近では、免疫抑制薬の進歩と、手術前の十分な脱感作療法(血液型に対する抗体を除去し、少なくする治療)により、ABO血液型適合腎移植と遜色のない良好な成績をあげています。

Q:透析を受ける前でも腎臓移植は可能ですか?

A:可能です。ご自身の腎機能が正常の30%を下回り、腎臓を提供していただける家族の方がいる場合には、専門医へご相談ください。透析に先行して行われる腎移植を「先行的腎移植」と呼び、近年少しずつ増えてきています。

一言メモ

  1. 当院では生体腎移植、献腎移植のいずれにも対応しています。
  2. 生体腎移植を希望される方は、ドナーの方とご一緒に受診いただき、必要な検査について、十分な説明を受けてください。
  3. 献腎移植のレシピエント登録についても、随時受け付けています。主治医の先生に、まずはご相談いただき、地域連携室へ受診の手続きをとってください。
図1: 当院で実施している腹腔鏡下ドナー腎採取術(左)の手術創

図1: 当院で実施している腹腔鏡下ドナー腎採取術(左)の手術創

図2: 腎移植の創と移植される場所

図2: 腎移植の創と移植される場所

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