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富山大学附属病院の先端医療

極低出生体重児の治療とフォローアップ―周産母子センター

富山大学附属病院の先端医療

周産母子センター

極低出生体重児の治療とフォローアップ―周産母子センター

吉田丈俊/センター長

極低出生体重児とは?

生まれた時の体重が2500g未満の赤ちゃんは低出生体重児と呼ばれ、特に、1500g未満であれば極低出生体重児と言います。日本では、出生数は年々減少していますが、低出生体重児の割合が増加しており、現在、10人に1人が低出生体重児です。

極低出生体重児は、低出生体重児のなかでも特にリスクが高く、脳性麻痺・精神発達遅延・注意欠陥/多動性障害の発生率が高くなっています。そのため、出生直後よりNICU(新生児集中治療室)に入院して高度な医療が必要とされ、退院後も成長と発達の推移を見守る必要があります。この退院後の定期受診をフォローアップと呼んでいます。極低出生体重児では6歳~10歳頃までフォローアップしていることが多いです。

どのような治療を受けるのですか?

極低出生体重児の赤ちゃんは、体重が小さいだけでなく、すべての臓器が未成熟なため、さまざまな合併症の危険性があります。呼吸障害や心不全、脳室内出血や感染症などの危険性があるため、生後より人工呼吸器や強心剤、抗菌薬投与などを行うことが多いです。

本来ならお母さんのお腹にいる週数のため、栄養は点滴からアミノ酸、ビタミン、脂肪製剤などを投与します。ミルクはお母さんの母乳が一番安全で消化も良好ですので、できるだけお母さんに頑張って搾乳してもらっています。このようなハイリスクの赤ちゃんを看護するエキスパートとして、新生児集中治療認定看護師が、当院には2名勤務しています。最近は、極低出生体重児の多くの赤ちゃんが元気に退院されています(図)。また、当院NICU(新生児集中治療室)/GCU(新生児回復治療室)では24時間、家族の面会が可能です。急性期の治療はもちろんですが、家族と赤ちゃんとの関係を大切にしながら、日々診療を行っています。赤ちゃんが無事に退院した後は、外来にて定期的に赤ちゃんが順調に発達しているかどうかを見守っていきます。

当院では、臨床心理士によって発達検査を施行しています。それぞれのお子さんに合わせた発達を促進する接し方などを直接、臨床心理士から指導してもらえることで、家族の方からも好評です。

図:当院における極低出生体重児の入院数と生存率

図:当院における極低出生体重児の入院数と生存率

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