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富山大学附属病院の先端医療

Q: 最新の関節リウマチ治療―関節リウマチ

富山大学附属病院の先端医療

第一内科(リウマチ・膠原病内科)

Q: 最新の関節リウマチ治療―関節リウマチ

篠田晃一郎/診療准教授

Q:関節リウマチは、どんな病気ですか?

A:関節を包んでいる滑膜という袋のようなものが腫れると、周りの骨や軟骨などの関節の構造を次第に破壊していきます(図)。そうすると、微熱や倦怠感が出るなど日常生活にさまざまな支障をきたします。手足の関節だけでなく、首の関節にも影響が出てくることがあります。

関節の変形が進むと、手術以外に元に戻す方法はなくなってしまうため、できるだけ早い診断や治療を行って、変形を起こさないことが重要です。

Q:最新のリウマチ治療には、どんなものがありますか?

A:まずは、抗リウマチ薬という飲み薬を使います。その中でも、特に内臓などに問題がない場合には、メトトレキサートという薬が中心的な役割を果たします。この薬が、効果をあらわすまでの間は、痛み止めやステロイド薬を一時的に使用して、痛みを和らげたりします。メトトレキサートを最大限使っても効果が十分に出ないときには、生物学的抗リウマチ剤(バイオ製剤)という注射薬を併用します。

最近では、注射が苦手な方にも使えるJAK(ジャック)阻害剤という新しい飲み薬も登場してきました。ただし、これらのバイオ製剤やJAK阻害剤は高額ですので、主治医の先生とよく相談して決めてください(表1)。なお治療効果を確認するために関節超音波検査をしながら、関節炎の状態をみていくことが、治療の中で重要です。

Q:治療中に気をつけることはありますか?

A:リウマチの中心的な治療薬であるメトトレキサートを服薬中は、青汁や健康食品などの葉酸が多く入ったものを摂りすぎると、薬の効き目が悪くなることがあります。また、過去に知らない間に体内に入った結核菌や、B型肝炎ウイルスが活発になるきっかけとなることもあるので、治療前や治療中のチェックが必要です。

治療薬の多くは、多少なりとも免疫力を低下させるため、うがいや手洗いをしっかり行ってください。冬場のインフルエンザワクチンや、高齢者の肺炎球菌ワクチンもできるだけ受けてください。また、子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルスが活発になって、帯状疱疹を起こすこともあります。皮膚の変化にも十分に注意してください(表2)。

一言メモ

関節リウマチは、今では不治の病ではなく、医学の進歩により、早期に発見して適切な治療を受ければ、変形も起こさずに普通の人と同じ生活が送れる病気になりました。
図の左側は正常な関節の内部を表しています。

通常、関節は滑膜組織により覆われています。しかし、リウマチの関節内部(図右側)では、さまざまな炎症細胞浸潤を伴う増殖した滑膜病変が出現し、骨や軟骨を破壊していきます。

図:健常者と関節リウマチ患者の関節(ランセット2016をもとに作図)

図:健常者と関節リウマチ患者の関節(ランセット2016をもとに作図)

表1:リウマチ治療薬の一覧

表1:リウマチ治療薬の一覧

表2:治療前、治療中の注意事項

表2:治療前、治療中の注意事項

0〜9

A〜Z

あ行

か行

さ行

た行

な行

は行

ま行

や行

ら行

わ行