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富山大学附属病院の先端医療

Q:緑内障の治療―緑内障

富山大学附属病院の先端医療

眼科

Q:緑内障の治療―緑内障

大塚光哉/助教

Q:緑内障とは、どんな病気ですか?

A:緑内障とは、視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善、もしくは、抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患であると定義されています。

眼には、網膜と呼ばれる神経細胞や、視細胞が集まってできた薄い膜が存在します。緑内障になると、その網膜の中の神経細胞が死んでしまいます。眼底を観察すると、消失した神経細胞の痕が黒く筋のようにみえ、光干渉断層計では、赤く表示されます(写真1)。

眼底には、視神経があり、視神経の先端は、通常はくぼんでいますが、緑内障になるとこの視神経のくぼみが大きくなります(写真2)。消失した神経細胞は、回復することはありません。

緑内障は、視野狭窄や視力低下が進行していく病気ですが、初期には自覚症状なく進行し、かなり見えなくなるまで自覚症状がでないことがあります。

Q:眼圧とは何ですか?

A:眼圧とは、眼の硬さのことで、単位はmmHgを用います。眼圧の正常範囲は、10mmHg〜21mmHgと考えられています。何らかの影響で眼圧が高くなると、緑内障になります。緑内障の治療は、眼圧を下げることで、神経細胞が死んでしまうのを防ぐことです。見えなくなった部分は回復しませんが、眼圧を下げることで緑内障の進行を遅らせることができます。

Q:緑内障の点眼治療について教えてください。

A:眼圧を下げる方法として最もよく行われる方法です。それぞれの点眼薬ごとに眼圧を下げる方法が異なっており、いくつかの点眼を同時に使用することもあります。配合剤と呼ばれるものは、1つの点眼のなかに2種類の眼圧を下げる成分が入っております。

Q:緑内障のレーザー治療、手術治療について教えてください。

A:点眼加療をしても眼圧が下がらない場合や、点眼薬が使用できない場合にレーザー治療を行います。眼圧がよく下がる人もいれば、効果がない人もいます。複数回の照射が可能です。

点眼治療や、レーザー治療をしても眼圧が下がらない場合、緑内障手術を行います。緑内障手術は、眼圧を下げるための手術であるため、手術を受けても見えやすくはなりません。緑内障手術にはいくつかの方法がありますが、それぞれの眼にあった手術方法があります。近年では、今までの通常の緑内障手術では眼圧が下げられなかった難治性緑内障に対して、緑内障インプラント手術が行われるようになり、当院でも行っております。また、初期の緑内障に対して手術の傷口が小さい手術も盛んに行われるようになりました。

一言メモ

緑内障は、早期の治療をすることで、生涯にわたり良い見え方を維持することができます。緑内障の早期発見のため、検診を受けましょう。

写真1ーA:緑内障の眼底写真(A左)と光干渉断層計写真(B左)と、正常の眼底写真(A右)と光干渉断層計写真(B左)。

写真1ーA:緑内障の眼底写真(A左)と光干渉断層計写真(B左)と、正常の眼底写真(A右)と光干渉断層計写真(B左)。

緑内障眼では、神経線維が欠損した部分(*)が眼底写真で黒くみえ、光干渉断層計写真で赤く表示されます。

写真1ーB:緑内障の眼底写真(A左)と光干渉断層計写真(B左)と、正常の眼底写真(A右)と光干渉断層計写真(B左)。

写真1ーB:緑内障の眼底写真(A左)と光干渉断層計写真(B左)と、正常の眼底写真(A右)と光干渉断層計写真(B左)。

緑内障眼では、神経線維が欠損した部分(*)が眼底写真で黒くみえ、光干渉断層計写真で赤く表示されます。

写真2:緑内障の視神経乳頭(左)と正常の視神経乳頭(右)。

写真2:緑内障の視神経乳頭(左)と正常の視神経乳頭(右)。

緑内障眼では視神経の陥凹が深くなっています。

写真3:緑内障によって狭窄した視野(左)と、正常の視野(右)。

写真3:緑内障によって狭窄した視野(左)と、正常の視野(右)。

左右とも左眼の視野を示しています。見えない部分が黒く表示されます。左の緑内障の眼では、正常に比べて60%ほどしか見えておりません。

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