富山大学附属病院の先端医療
Q:皮膚レーザー治療の進化―アザ治療、イボ治療
三澤恵/診療准教授、 鹿児山浩/助教、 清水忠道/教授
Q:皮膚レーザーは何に効くのですか?
A:皮膚レーザーで治療できる疾患は、一般的にアザやシミと呼ばれる皮膚の色調の異常です。また、ウイルス性のイボにも効果があります。このうち、当院ではアザとイボの治療を行っています。大人になってからできるアザもありますが、多くは出生時、および生後まもなくできることが多く、さまざまな種類があります(表1)。
赤アザには乳児血管腫(いちご状血管腫)、毛細血管奇形(単純性血管腫)、毛細血管拡張症などがあり、局所的な血管の拡張や増殖によって起こります。青アザには太田母斑、遅発性太田母斑、異所性蒙古斑などがあり、皮膚の中の真皮といわれる部分でメラニン色素が増加している状態です。茶アザには扁平母斑があり、皮膚の表面(表皮)でメラニン色素が増加している状態です。
これらのアザの治療は、かつてはカバーマークなどで隠すか、あるいは、ドライアイスやグラインダーで削る方法もありましたが、十分に色が取れなかったり、色が取れても醜い痕が残ることが多いのが現状でした。しかし、最近では傷跡を生じにくいレーザー治療が主流になっています。
また、イボの治療は一般的に液体窒素による冷凍凝固療法が行われますが、イボの中には治りにくいものもあります。当院では、治りにくいイボに対しても、レーザーによる治療を行っています。
Q:アザのレーザー治療について教えてください。
A:アザの色の原因となるターゲット(血管内の赤血球やメラニン色素)に、選択的に吸収されやすい波長のレーザーを用いて、正常組織へのダメージを最小限に抑えて、ターゲットのみにダメージを与えることで治療を行います。
例えば当院では、青アザや茶アザにはメラニン色素によく反応する波長のレーザー(Qスイッチルビーレーザー、Qスイッチアレックスレーザー)、赤アザには血液の赤い色によく反応する波長のレーザー(色素レーザー)といった使い分けをして治療を行います。レーザーがアザに効く仕組みを青・茶アザを例にとってみましょう(図1)。
レーザーを照射するとメラニン色素が吸収し、衝撃波によって色素が粉砕されます。粉砕されたメラニン色素は、生体が持っている異物を排除する仕組み(貪食作用)により、色素が徐々に除去されます。また、赤アザの場合は、レーザーを照射すると血管を流れる赤血球に当たって熱をもち、その熱が血管を潰すことで治療効果が発揮されます。
レーザー照射後は、軽いやけどの状態になりますので、清潔を保つことと、軟膏を塗ってガーゼを貼る処置が、1週間程度必要になります。さらに、レーザー照射後の遮光は、色素沈着を起こさずきれいに治すために重要です。基本的には、3〜6か月に1回程度の治療を行います。アザの種類や濃度によりますが、治療終了まで3クールから6クール以上かかることが多いです。
Q:イボのレーザー治療について教えてください。
A:イボは一般的によく見られますが、ウイルス感染によるものと、体質や加齢によるものに分けられます。ここではウイルス性のイボを取り上げます。
皮膚に小さなキズができると、そこからウイルスが入り込み、皮膚の一番深いところにある細胞に感染することでイボができるとされています。そのため、イボの治療はこのウイルスが感染した細胞を退治することが目的となります。一般的に液体窒素による冷凍凝固療法が行われますが、手のひらや足の裏のような皮膚が厚い場所では、効き目が弱く、治りにくいとされます。そのような治りにくいイボに対しては、色素レーザーや炭酸ガスレーザーを使用します。レーザーがイボに効く仕組みをみてみましょう(図2)。
まず色素レーザーは、赤アザの治療でも説明したように、血管をつぶす効果があります。イボは成長するために血管を多く含んでいるため、血管を潰すことでイボの成長を妨げることができます。次に炭酸ガスレーザーは、水に吸収されやすい特徴があり、照射すると細胞の中の水分に取り込まれ熱をもち、治療部位の組織だけを蒸散させることができます。局所麻酔を行えば痛みもなく、治療できます。
一言メモ
- 皮膚レーザーで治療できるものに赤アザ、青アザ、茶アザ、イボがあります。
- レーザーは、アザの色の原因となるターゲットに選択的に吸収されるため、正常組織へのダメージを最小限に抑えて治療を行うことができます。
- 治りにくいイボには色素レーザーや炭酸ガスレーザーが有効です。
0〜9
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