富山大学附属病院の先端医療
Q:脳梗塞の急性期治療と予防治療―脳梗塞
温井孝昌/助教
Q:脳梗塞とは、どんな病気ですか?
A:脳梗塞は、脳に栄養を送っている血管が、主に血液の塊(血栓)によって閉塞し、脳組織が傷害を受ける病気です。血栓は動脈硬化で狭くなった部位に生じて血管を閉塞する場合と、心臓や血管にできた血栓が脳の血管に運ばれていき血管を閉塞する場合があります(図1)。
基本的に脳梗塞は、突然に発症し、しゃべりにくい、左右どちらか片側の顔面や手足が動かしにくい、などの症状が現れます(図2)。ほかには、脳梗塞の部位によって言葉が出にくくなったり、物忘れが出現したり、目が見えにくくなったりすることもあります。意識については、障害される場合と正常の場合があります。
脳組織は、脳梗塞によって傷害を受けると、時間の経過とともには回復できない状態となり、後遺症として麻痺症状が残る場合があります。実際、脳梗塞は介護状態につながることが最も多い病気です。したがって、脳梗塞が疑われる症状が現れた場合は、すぐに病院を受診することが重要です。
脳梗塞の診断には、頭部MRI検査が有用です。当院では放射線科と協力し、脳梗塞が疑われる患者さんについては、緊急で頭部MRI検査を実施し、早期の診断と治療を行う体制を整えています。
Q:脳梗塞を発症したら、どんな治療が行われますか?
A:脳梗塞を発症してから4時間半以内で、治療の適応を満たした場合は、経静脈的血栓溶解療法(rt-PA療法)を行うことができます。
rt-PA療法は、rt-PAという血栓を溶かす作用のある薬を1時間で点滴投与する治療です。rt-PA療法により血栓が溶解し、閉塞した血管が開通した場合は、劇的に症状が改善することがあります(写真)。
rt-PA療法を行っても症状が改善せず、閉塞した血管が開通しない場合は、脳梗塞を発症してから8時間以内であれば、カテーテル治療による血栓回収術を行うことができます。当院では、2018年4月に包括的脳卒中センターを開設し、脳神経内科、脳神経外科、救急科が連携をとり、rt-PA療法やカテーテル治療を行える体制をとっています。これらの治療を行うためには、脳梗塞が発症してから、少なくとも3時間以内には受診する必要があり、脳梗塞が疑われた場合は、すぐに病院を受診することが重要です。
rt-PA療法やカテーテル治療ができなかった場合は、抗血栓薬という血栓をできにくくする薬を点滴や内服で投与します。ほかには、脳組織を守る脳保護薬の点滴治療も行います。
Q:脳梗塞を予防するためには、どんな治療を行いますか?
A:脳梗塞は、体の中で血栓が作られて血管を閉塞する病気のため、1度でも脳梗塞になった患者さんは、血栓を作りにくくする抗血栓薬という薬を服用する必要があります。飲み忘れたり、服用を中断したりすると、脳梗塞が再発する可能性があるため、服用を継続することが大切です。
抗血栓薬にはいくつかの種類があり、患者さんごとに薬を選択する必要がありますが、当科では複数の脳卒中専門医の話し合いのもとで適切な診断を行い、各々の患者さんに合った抗血栓薬の選択をしています。また、国内の脳梗塞の治療指針である『脳卒中治療ガイドライン2015』抗血栓薬の部分の作成を当科が担当しています。
脳梗塞を発症する危険因子として、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、心房細動、メタボリック症候群などが知られています(図3)。脳梗塞にならないためには、これらの危険因子を管理する必要があり、当科ではこれらの危険因子を発見し、厳格に治療することにより、脳梗塞の予防に努めています。
一言メモ
- 脳梗塞は、要介護状態となる病気の第1位、死亡原因の第3位です。
- 脳は血管が閉塞すると、時間の経過とともに回復できない状態になります。
- 脳梗塞が疑われた場合は、早急に病院を受診する必要があります。
- 当科には脳卒中専門医が多数在籍し、脳神経外科、救急科、放射線科と連携をとり、急性期から慢性期にかけて、幅広く脳梗塞治療に取り組んでいます。
0〜9
A〜Z
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- C型肝炎ウイルス
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- ER
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