富山大学附属病院の先端医療
Q:新型コロナウイルス感染症とはどんな病気ですか?―新型コロナウイルス
長岡健太郎/准教授、 山本善裕/教授
Q:新型コロナウイルスはどんな特徴をもつ病気ですか?
A:新型コロナウイルス感染症(Coronavirus disease 2019; COVID-19)は、コロナウイルス科に分類されるSARS-CoV-2ウイルスによる感染症です。コロナウイルスは、直径約100nmの球形で、表面に突起(スパイク)を有するエンベロープにウイルス遺伝子が包まれた構造を持ちます(図1)。SARS-CoV-2は、これまでの風邪の原因となっていたコロナウイルスのように広く流行拡大する感染性を持ち、一部の感染者にSARS (severe acute respiratory syndrome)、MERS (middle east respiratory syndrome)のような重篤な肺炎を起こす性質を備え、2019年11〜12月に中国・武漢で発見されて以降、世界各地への感染拡大、パンデミックを起こしました。
これまでの流行性感染症と比較したCOVID-19の大きな特徴は、「感染後の経過」になります(表1)。例えば、インフルエンザウイルス感染では、ほとんどのケースで発熱4日後から解熱傾向がみられるのに対し、COVID-19では発熱4日後から肺炎の増悪がみられます。こうした比較的緩徐な経過をとるCOVID-19では、いざ肺炎を起こし酸素の取り込みが不十分となった時(呼吸不全発症時)に、あまり息苦しさを感じないことも少なくありません。このため、COVID-19では、いよいよ身体が限界に達するまでの呼吸不全となってから息苦しさが出現し、状態が急変する例が国内外で多数報告されました。
COVID-19では、SARS-CoV-2がヒト細胞表面に発現するACE-2受容体を介し、細胞内侵入する経路が主要な感染経路となります。ACE-2受容体は高齢者、高血圧などの血管病変を持つ方で増加するため、流行初期の重症COVID-19は、高齢者や高血圧などの一部の基礎疾患を持つ方に多くみられていました。しかしながら、パンデミックの中でSARS-CoV-2のスパイク遺伝子情報が変異した株が発生し(図1)、そのうちの一部が流行の主体となって以降(日本国内第4〜5波)、より若年での重症化もみられるようになりました。
これまでの経緯から、COVID-19は今後もその性質を変え、感染流行が反復されていく可能性も懸念されます。2021年7月に承認されたカクテル抗体療法など、COVID-19への新たな予防・治療方法の開発は今後も進んでいくものと予想されます。しかし、当面は上述した点をふまえ、COVID-19について十分予防に努めることに加え、COVID-19感染が疑われる場合には早めに医療機関を受診することをお勧めいたします。
Q:新型コロナウイルスに感染しないための有効な対策を教えてください。
A: 新型コロナウイルス感染症予防に有効な対策として、飛沫予防策、接触予防策、ワクチン接種が挙げられます(表2)。
SARS-CoV-2は、咳、くしゃみ、つばなどに含まれる飛沫(しぶき)に含まれ、約2mの範囲で飛ぶといわれています。COVID-19感染は、この飛沫に含まれたウイルスを一定量吸引することによって発症に至ります。また、換気が不十分な屋内において、互いに手を伸ばしたら届く距離で長時間過ごすときには、直接の飛沫吸引がなくても、空気中に浮遊する微量のウイルスを吸入することで発症に至る例も報告されています。このため、COVID-19の感染対策としては、「お互いのマスク着用」が最も重要な感染対策となります。ヒト-ヒト接触時におけるお互いのマスク着用により、感染者からの飛沫発生が抑えられ、相手への飛沫吸入も大きく抑えられます。病院内での感染対策も、こうした考えに基づき入院患者さんや、医療従事者がお互いにマスク着用することを基本対応としています。
ウイルスが含まれる可能性のある飛沫がついた場所を触る場合、接触対策として手指消毒が必要となります。手指消毒には、石鹸による手洗いよりもアルコール手指消毒の方が、有効性、即効性が高い点でお勧めいたします。
上述の感染対策は、COVID-19を完全に予防できるものではないため、特に感染流行期には、「換気が悪く」「人が密に集まって過ごすような空間」「不特定多数の人が接触するおそれが高い場所」を避けることも重要です。
COVID-19に対するワクチンとして、2021年度はmRNAワクチン接種が広く行われました。ワクチン接種を受けた方の抗体価の国内の調査では、高い抗体価上昇とウイルス中和活性が得られるとされております。ワクチンによる予防効果がどのくらいの期間有効かという課題は残りますが、COVID-19感染流行のコントロールには、今後もワクチン接種が重要な役割を果たすものと考えられます。
COVID-19への有効な感染対策として、ワクチン接種を受けることと、流行状況に注意しながらマスク着用、手指消毒などの適切な感染対策を続けていくことをお勧めいたします。
一言メモ
- 新型コロナウイルス感染は、長引く発熱後に肺炎を起こす病気です。
- 疑わしい発熱があれば、早期に医療機関を受診することが大切です。
0〜9
A〜Z
- ABO血液型不適合腎移植
- AIDS
- AS
- AYA世代
- BIA-ALCL
- BPA
- BRACAnalysis検査
- Brain Heart team
- B型肝炎ウイルス
- CGM
- CIDP
- CT
- CTEPH
- C型肝炎ウイルス
- DBS
- Dual-energy(デュアルエナジー)CT
- ER
- ESD
- FFR CT検査
- HbA1c
- HBOC
- HIV
- HPV
- IMRT
- LCIG
- LGBTQ+
- LVA
- MS
- Multiple LVA
- NICU
- NIPT
- NMOSD
- OncotypeDX検査
- PCA
- PCI
- PCR法
- PEA
- QOL
- Qスイッチアレックスレーザー
- Qスイッチルビーレーザー
- R-CHOP療法
- RRM
- rt-PA療法
- SARS-CoV-2
- ST
- Stanford B型急性大動脈解離
- TAVI
- TIA
- WATCHMAN
- X-Map
あ行
か行
- ガイドシース併用超音波気管支内視鏡
- 潰瘍性大腸炎
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- 化学療法(抗がん剤治療)
- 下肢静脈瘤
- 仮想画像(バーチャル)気管支内視鏡
- 画像診断
- 仮想非造影(単純)CT
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- カテーテルアブレーション
- カテーテル治療
- カテーテル閉鎖術
- 下鼻甲介切除術
- 硝子体
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- 寛解導入療法
- 間欠跛行
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- がん性疼痛
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- 肝切除術
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- 乾癬
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- 冠動脈造影CT検査
- 漢方薬
- 肝予備能
- 冠攣縮性狭心症
- 奇異性塞栓
- 気管支内視鏡
- 機能温存
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- 救急医療
- 救急外来
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- クライオバルーンアブレーション
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- 頚椎症性脊髄症
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- 経皮的冠動脈形成術
- 経皮的左心耳閉鎖術
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- 抗リウマチ薬
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- 誤嚥防止手術
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さ行
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- 人工肛門
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- 心臓カテーテル検査
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- 腎部分切除術
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- スリーブ状胃切除術
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- 生活療養指導
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- 性別適合手術
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- 脊髄髄膜瘤
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- 摂食・嚥下障害
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- 潜在性二分脊椎
- 前十字靱帯損傷
- 染色体異常
- 先進1型糖尿病外来
- 先天性心疾患
- 前立腺がん
- 前立腺全摘出術
- 双極性障害
- 僧帽弁閉鎖不全症
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- 咀嚼・嚥下障害
- 咀嚼機能
た行
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- 大腸ポリープ
- 大動脈弁狭窄症
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- 唾液腺がん
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- 胆のう結石
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- 遅発性太田母斑
- 茶アザ
- 中隔子宮
- 中耳加圧治療
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- 治療抵抗性統合失調症治療薬
- チロシンキナーゼ阻害剤
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- 頭頚部
- 頭頚部がん
- 統合失調症
- 動注化学療法
- 糖尿病
- 動脈管開存
- 動脈硬化
- 特異性IgE抗体
- 特発性肺動脈性肺高血圧
- トモシンセシス
- とやまパラドックス
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- トランスジェンダー男性
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な行
は行
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- 肺区域切除術
- 肺血管内膜摘除術
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- バイパス手術
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- 肺葉切除術
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- 鼻・副鼻腔がん
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- 非ステロイド性抗炎症薬
- 鼻中隔外鼻形成術
- 鼻中隔彎曲症
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