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第一外科診療部門 呼吸器外科

第一外科診療部門
呼吸器外科

診療体制

 基幹病院として呼吸器外科専門医4名が所属し、肺がんなど胸部に発生した腫瘍、気胸、膿胸、気道狭窄、外傷などあらゆる胸部疾患の手術を行っています。また手術後の補助的な薬物治療も行っています。
 ロボット支援下手術、胸腔鏡手術などの低侵襲手術から拡大手術まで、幅広い手術を行っています。また治療に難渋する難治例や特殊な症例を積極的に受け入れることを目的として、2024年より呼吸器・胸郭センターが開設されました。昨今の技術の進歩によって、“治らなかった患者を治せるようになる”と考え、呼吸器内科、放射線治療科と密に連携を取りながら、その患者に合った最適な治療を行っています。特に、巨大な肺がん、骨や胸壁に浸潤しているような進行がんに対しても積極的に手術を行い、積極的な集学的治療を行っています。

主な対象疾患

<胸部疾患>

  • 肺癌、転移性肺腫瘍など肺腫瘍全般
  • 気胸
  • 縦隔腫瘍(胸腺腫など)
  • 胸壁腫瘍
  • 胸膜腫瘍
  • 気管・気管支腫瘍
  • 気道狭窄症
  • 感染性疾患(膿胸、肺化膿症、非結核性抗酸菌症、縦隔炎など)
  • 縦隔リンパ節腫大
  • 胸部外傷
  • 漏斗胸

    高度な専門医療

    1. ロボット支援手術(ダ・ヴィンチ)
    2. 完全胸腔鏡下手術(傷が複数カ所の手術)
    3. 単孔式手術(傷1カ所の手術)
    4. 局所進行癌に対する拡大手術
    5. 高齢者に対する手術
    6. 気道ステント手術
    7. 気管支充填術
    8. 肺機能低下を最小限にするCOPD治療
    9. 漏斗胸手術(形成外科との合同手術)

     

    <低侵襲手術>

     低侵襲手術は、5mm~1cmの孔から鉗子またはアームを入れて手術を行います。そのため、小さな創で開胸をせずに手術を行うことができます。また、2㎝以下の小さな肺がんに対しては区域切除を積極的に行い、切除範囲も少なくすることで、体に負担の少ない手術を行っています。

     現在は80歳代の方への肺切除は日常的に行われており、90歳以上のご高齢者でも、安心して手術を受けることができます。

     

    (1)胸腔鏡手術
     「胸腔鏡」と呼ばれる内視鏡操作だけで行う手術は「完全胸腔鏡下手術」と呼ばれ、早期退院・早期社会復帰が可能となります。当科では1993年より胸腔鏡(内視鏡)手術を導入し、2002年には全国に先駆けて開胸を伴わない「完全胸腔鏡下肺葉切除術」を成功させました。年間手術の9割以上をこの方法で実施してきましたが、この成績は全国屈指です。
     私たちは更なる低侵襲治療を目指し、傷1カ所だけの「単孔式手術」を2014年から開始しました。当初は肺の一部を切除する肺部分切除術や肺ブラ切除術、胸に膿がたまる病気である膿胸を対象とし、2018年7月からは肺葉切除術・肺区域切除術・縦隔腫瘍切除術にも導入しています。肺葉切除や肺区域切除では平均術後7日目で退院しています。

    (2)ロボット支援手術(ダ・ヴィンチ)
     ロボット技術を応用したロボット支援手術(ダ・ヴィンチ)は低侵襲手術の一つです。2018年度より肺がんや縦隔腫瘍の手術に保険適応となりました。ロボット技術により繊細で複雑な操作が可能となったため、現在の完全胸腔鏡下手術では操作が難しい腫瘍に対しても、低侵襲手術(体にやさしい手術)を提供することが出来るようになりました。2023年度では、北陸地域で最も多い手術件数を達成しています。
     この手術は、肺がんと縦隔腫瘍が保険適応になっています。

    (3)肺機能低下を最小限にする区域切除術
     肺は切除した範囲に比例して呼吸機能は低下します。特に肺がん患者さんはタバコを吸っている方が多く、COPDと呼ばれる肺機能が低下する病気も併せ持っています。これまで肺がんの標準手術は肺葉切除でしたが、2022年に2㎝以下の小型肺がんに対しての区域切除の有効性が示されました。これに従い、比較的小さな肺がんにはより多くの呼吸機能を温存できる区切除を積極的に行っています。

     

    <拡大手術>

     腫瘍が周囲組織に及んでいる局所進行癌の患者さんには、複雑な手技や周囲の臓器を一緒に切除・再建する必要があるため、低侵襲手術よりも従来通りの大きな傷(開胸手術)となります。2024年から呼吸器・胸郭センターが新設され、それに伴った呼吸器内科、放射線治療科、病理診断科との密な連携に加え、心臓血管外科と同じ診療科であるため、さまざまな病気に対して、より良い治療を、万全の体制で行っています。

     進行がんでは手術が難しくなってきますが、取り切れるか取り切れないか、ぎりぎりの症例にもあえてチャレンジすることで、助けられる方もいらっしゃいます。手術、薬物治療、放射線療法を組み合わせる“集学的治療”を尽くすことで、最大限の治療効果を得ることができます。

     

    <ご高齢に対する手術>

     2021年の日本人の平均寿命は84.5歳です。80歳を過ぎても元気でお仕事を続けている方もいらっしゃいます。そのためがん患者自体の平均年齢も上昇しており、80歳前後の方の手術症例が増加しています。私たち呼吸器外科手術では年齢制限を行っておりません。心臓や肺、腎臓の機能が保たれ、糖尿病などの基礎疾患がない場合は、一般的な肺葉切除では手術を行って約1週間で退院可能です。

    専門外来

    ・呼吸器外科外来

    安全、安心、やさしい診療。
    低侵襲治療で病気はもちろん、痛みも傷も不安も1日でも早く取り除くことを徹底的に心がけています。安心して受診してください。

    <胸部疾患>

    • 肺癌、転移性肺腫瘍など肺腫瘍全般
    • 気胸
    • 縦隔腫瘍(胸腺腫など)
    • 胸壁腫瘍
    • 胸膜腫瘍
    • 気管・気管支腫瘍
    • 気道狭窄症
    • 感染性疾患(膿胸、肺化膿症、非結核性抗酸菌症、縦隔炎など)
    • 縦隔リンパ節腫大
    • 胸部外傷
    担当医 土谷、下山、尾嶋、北村、田邊
    診療日 土谷(火・木)、尾嶋(火)、下山(木)、北村(火)、田邊(火・木)
    受診方法 地域連携予約、紹介状持参が原則です。

    主な検査・設備など

    • 単孔式内視鏡手術器具
    • ハイビジョン鏡視下手術専用手術室
    • ロボット支援手術システム(ダ・ヴィンチ)
    • ハイビジョン胸腔鏡システム
    • 縦隔鏡システム
    • 気管支鏡・超音波内蔵気管支鏡システム
    • 硬性気管支鏡
    • 超音波検査システム
    • 鏡視下超音波検査システム
    • 高速気腹装置
    • 細径鏡視下手術用鉗子(3mm)
    • エネルギープラットフォーム・高周波手術装置

    診療実績

    低侵襲内視鏡手術割合とロボット支援下手術

     年間手術の約90%は、体にやさしい低侵襲手術です。この数字は近隣県のみならず、全国屈指の成績を誇っています。もちろん年齢、性別、体格を問いません。子どもから若い女性やご高齢の患者さまにも安心して治療を受けていただくことができます。
     ロボット手術は2018年より開始し、Certificateを取得した3名の医師が手術を行っています。2023年度には北陸の病院の中で最も多い手術件数を達成しています。手術時間は胸腔鏡手術より少し長くなりますが、安全性が高く、精密な手術が可能であることから、今後さらに増加すると考えています。

     

    拡大手術と胸郭手術

     呼吸器外科専門医4名によって、気管支、肺動脈など、周囲組織に浸潤する腫瘍も切除しています。背骨や大動脈などに食い込む腫瘍も、整形外科や心臓血管外科との合同手術によって切除することが可能です。また、肺がんの肋骨浸潤に対する胸壁合併切除、慢性感染症での胸郭成形術、慢性膿胸に対する開窓術など、高難度な胸郭の再建術も行います。致死性の壊死性降下性縦隔炎のドレナージ術、組織を壊す真菌感染症や胸腔の壁に孔を空けて洗浄を続ける膿胸の手術も行っています。
     呼吸器・胸郭センターの新設に伴い、形成外科と合同で、金属のバーを使用したNuss法による胸郭形成手術も行えるようになりました。漏斗胸は400人に1人の割合で発生すると言われており、潜在的な必要性が知られています。漏斗胸の手術を専門に行う病院は北陸地域に少なく、手術をしたくても相談できない潜在的な患者がいらっしゃると思います。富山県初の漏斗胸に対する治療専門施設として、県内外にアピールしていきます。

     

    ご高齢者に対する手術

     最近では、80歳を過ぎた肺がん患者さんに対しても普通に手術を行っています。90歳を過ぎた患者さんにも、心臓や肺、腎臓の機能が比較的保たれ、糖尿病などの基礎疾患がない場合において、万全の準備をして手術に望んでいます。人生100年の時代です。実際に2023年度では31人の80歳以上の方の肺切除を行い(全体の15%ほど)、90歳以上の方の手術も行っています。ご本人、ご家族の積極的な治療のご意思があれば、一度是非ご相談してみてください。

    診療科紹介

    呼吸器外科は、主には肺や縦隔の外科手術を担当しています。2022年7月より新しい診療体制になり、2024年1月より呼吸器・胸郭センターに所属しています。2024年4月現在、4名の呼吸器外科専門医、1名の外科専門医、2名の医員(修練医)で診療にあたっています。
    研修医、OSCE試験をパスした臨床医学生も診療に加わっておりますので、ご理解のほど宜しくお願い致します。

    診療科長(呼吸器外科部門長)
     土谷 智史

    スタッフ紹介

    氏名 職位 専門領域 資格など
    土谷 智史 診療科長
    特命教授
    呼吸器外科

    日本外科学会専門医・指導医
    日本呼吸器外科学会専門医・評議員
    日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医・指導医
    日本呼吸器内視鏡学会評議員
    日本肺癌学会評議員
    日本移植学会移植認定医
    日本再生医療学会認定医
    日本臓器保存学会評議員
    Certificate of Robotic Surgery
    死体解剖認定医
    日本呼吸器外科学会胸腔鏡技術認定医

    Proctor of Robotic Surgery

    下山 孝一郎 診療副科長
    講師
    呼吸器外科

    日本外科学会 専門医
    日本呼吸器外科学会 専門医
    Certificate of Robotic Surgery

    尾嶋 紀洋 医局長
    助教
    呼吸器外科 日本外科学会 専門医
    日本呼吸器外科学会 専門医
    日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
    肺がんCT検診認定医
    難病指定医
    Certificate of Robotic Surgery
    北村 直也 診療助手 呼吸器外科 日本外科学会 専門医
    日本呼吸器外科学会 専門医
    日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
    肺がんCT検診認定医
    da Vinci certificate(assistant)
    がん治療認定医
    小児慢性特定疾病指定医
    難病指定医
    田邊 慶太郎 医員 呼吸器外科 日本外科学会 専門医
    北出 成 医員 呼吸器外科 修練医
    横山 医員 呼吸器外科 修練医

    外来担当表

    曜日 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
    初診・再診  

    土谷
    尾嶋
    北村

    田邊

     

    土谷(午後)

    下山
    田邊

     

    第一外科診療部門 呼吸器外科