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富大病院最前線

ロボット手術で高度医療提供

富大病院最前線 富山新聞にて隔週火曜日連載中

各診療科や各部署の取り組みをご紹介します。

第32回

ロボット手術で高度医療提供

泌尿器科長

北村 寛

先月1日、富大大学院医学薬学研究部(医学)の教授に就任したことに合わせ、富大附属病院の泌尿器科長に就いた。泌尿器科全般を担当するが、一番の専門はがん診療である。全国的に泌尿器系がんは前立腺がんを筆頭に年々増加する中、前任地の札幌医科大では、ぼうこうがんの全摘手術を年30〜40件程度手掛けてきた。「がん手術の症例数の経験は誰にも負けない自負がある。最先端の医療を提供していきたい」と力を込める。
内視鏡手術やロボット手術など豊富な資格を持つ。このため、富大附属病院の泌尿器科ではこれまで実施できなかった前立腺がんなどの腹腔(ふくくう)鏡手術が来年1月から可能となり、「手術支援ロボット」を活用した手術も来年から導入できる見通しとなった。
腹腔鏡手術は、従来の手術と比べて出血量が激減し、傷も小さくて済み、患者の回復も早い。精密な動きが可能なロボット手術も患者に優しい手術である。それだけに、それぞれの導入後は県内から最先端の医療を希望する患者が激増すると予想され、「多くの人の期待に応えたい」と強調する。
富大附属病院の泌尿器科では、がんの手術はもちろん、前立腺がんに対する放射線療法や男性不妊症の治療なども大きな特徴だ。こうした持ち味をさらに伸ばすとともに、腎移植についても県立中央病院と連携しながら対応していくことに意欲を示す。

 

●「安全と確実」重視

十数年前、国立がんセンター中央病院で4年間勤務した際、毎日のように病院に泊まり込んで手術に当たった。手術に明け暮れた経験が、現在の高度な技術の習得につながったことは間違いない。しかし、技術以上に重視しなければならないのは「安全性と確実性」と言い切る。それを基盤に、高度医療を提供する医師であり続けることをモットーに掲げる。
富山に住んで1カ月余り。人の優しさや食べ物のおいしさに心を奪われる日々だ。ほれ込んだこの地の医療をさらに高めるため、自らの力を最大限発揮する。

きたむら・ひろし 札幌市出身。札幌医科大医学部卒。国立がんセンター中央病院泌尿器科チーフレジデント、札幌医科大医学部泌尿器科講師などを経て、11月1日から現職。富大大学院医学薬学研究部(医学)腎泌尿器科学講座教授。
北村 寛