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富大病院最前線

医療を担う「仲間」育てる

富大病院最前線 富山新聞にて隔週火曜日連載中

各診療科や各部署の取り組みをご紹介します。

第8回

医療を担う「仲間」育てる

副病院長(教育・研究担当)・検査部長

北島 勲

医学生が初期臨床研修先の病院を選ぶ「マッチング」の結果が公表され、富大附属病院で臨床研修を受ける人数は昨年度より10人増えて36人となった。その知らせを受け、ひときわ気を引き締めるのが、この人である。
「地方の医師不足が叫ばれる中、富山の医療を支える『人財』をつくる。それが私の仕事です」。教育・研究担当の副病院長であり、臨床研修の責任者である。
富大附属病院は「全国でも自慢できる」ユニークな研修システムをとっている。研修医の希望に応じて研修プログラムを組み、同病院を拠点に県内外の連携医療機関で幅広く研さんを積むことができる。さらに、各診療科に中堅医師を中心とした「教育担当医長」を配置し、診療科の連携を強化するとともに、研修医がより気軽に進路を相談できる体制を整えた。
「医学生たちの医療への情熱を高めるアシストが、私たち教員の役割です。要するに、大切なのは愛情ですよ。自分たちと一緒に働く『仲間』をつくる仕事ですから。子育てと同じで、愛情を持って育てないと」

 

●「患者さんから学ぶ」

医学生たちは、患者を受け持ち始める5年生になると、「目の色が変わる」のだという。医師としての自覚が芽生え、瞳の真剣さがぐっと増してくるのだ。
「患者さんから『しっかり勉強して、私の病気を治してくださいね』と言われるのが、医学生には一番学習効果が高いと思います。患者さんから学ぶことが臨床の基本です」。苦労を経ながらも一歩一歩成長する教え子の姿を見るのが、何よりの楽しみである。
一人の医師としては、臨床検査医学の専門家である。研究活動の中では、敗血症の原因菌を迅速に見極める検査技術を開発し、国際特許を取得した。
「地域で医療活動をしながら、常にインターナショナルな視点を忘れず、世界のトップレベルを目指す。それが座右の銘です」
世界に通用する高い技術で、地域の医療を向上させる。そんな医師を富山から育てたいと、粉骨砕身している。

きたじま・いさお 広島県生まれ。鹿児島大卒。富大大学院医学薬学研究部教授。
北島 勲