障害と対峙 ハンディキャップを最小化
リハビリテーション部副部長
松下 功富大附属病院の各部署がさまざまな疾患と向き合う中、リハビリテーション部は病気によって生じる障害と対峙(たいじ)する。「どのようにアプローチすれば、障害を最小限にできるのか。あるいは、残っている機能を最大化し、患者が将来、負わなければならないハンディキャップを最小化することが、われわれの使命だ」と言い切る。
医療の進歩によって、救命できる疾患は増えた。一方、病気による後遺症として、日常生活が著しく制限される患者が多いのも現実である。そうした中、主に神経・筋・骨格系に異常を来した運動機能障害者に対し、失われた機能の回復を促すとともに、それぞれに残っている能力を最大限に引き出せるよう、治療的訓練を実施している。
対象の疾患は、脳卒中や頭部外傷、脊髄損傷などで、これらの疾患によって生じた歩行障害や手足のまひ、日常生活動作障害などに対して治療を行う。治療の手段は、運動療法、温熱・電気刺激などの物理療法、作業療法、言語療法、装具療法などがあり、リハビリテーション室には専用器具や道具がずらりと並ぶ。
●早く治療に介入
患者の疾患や年齢はさまざまだが、共通して重要なことは「早く治療に介入することだ」と説明する。たとえ手術が成功しても、リハビリが不十分だったら、患者が十分に回復することはあり得ない。
1年間に対応する患者は部全体で延べ約2万人弱。それぞれに適切な診断と評価、機能回復の予測を行い、効率のよいリハビリプログラムを立て、全力で対応する。「患者が一日も早く家庭復帰や社会復帰できるよう、援助していきたい」と強調し、これからも患者に寄り添ったリハビリを提供していく。
13年前、リウマチで全く歩けなかった高齢の男性患者がいた。手術とリハビリを繰り返すこと半年、つえを突いてではあるが、歩いて病院を後にした姿が今でも忘れられない。「人のためにやれる仕事をしたい」。10代のころ、心に誓って進んだ医療の道で、それを実践する毎日である。