内視鏡を駆使し早期がん治療
光学医療診療部副部長
藤浪 斗光学医療診療部では、消化器と呼吸器の内視鏡検査と治療を行っており、中でも消化器の早期がん治療が専門だ。がんを早期に発見して治療すれば、患者の生存率は高まる。先端があらゆる角度に曲がり、青緑色の特殊な光を放つ拡大内視鏡を駆使する医師は「小さながんでも決して見逃さない」と力を込める。
扱う臓器は食道、胃、大腸と、口から尻まで全部だ。がん治療では、体の外からメスを入れたり、放射線を当てたりするケースもあるが、早期がんは内視鏡で除去できる。臓器の粘膜の表面数ミリにとどまっていれば、内視鏡の出番である。
●患者への負担少ない
内視鏡手術は、一般的な手術や放射線と比べて患者への負担が少ないとされる。加えて、術後数日で口から食事を取ることができ、入院期間も1週間程度と短くて済む。そうした患者に優しい治療を年100例程度手掛ける。
ここ数年は、カプセル状の内視鏡を使った検査も導入している。これによって、小腸検査の質は飛躍的に向上し、迅速な診断と治療が可能になった。年間100人程度にこの検査を受けてもらっており「多くの命を救うため、今後も最先端の検査システムを積極的に活用していきたい」と強調する。
これまで2度、他の医療機関で胃がんと診断された患者を診てみると、胃がん以外に食道がんを見つけたことがある。その際、患者は大きなショックを受けたが、それ以上に感謝されたという。自分の目で早期発見と早期治療につなげた好例について、笑顔で振り返る。
患者への負担が少ない内視鏡手術とは言っても、それなりのリスクが伴うのは否めない。それだけに、「患者に治療についてしっかり説明し、理解してもらった上で治療に臨んでもらうことを心掛けている」と説明する。
自らの技術をさらに高めることに余念がない。「より高度で安全な医療技術を提供して患者に喜んでもらいたい」との思いを胸に、これからも患者と向き合っていく。