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富大病院最前線

チーム医療で小さな命救う

富大病院最前線 富山新聞にて隔週火曜日連載中

各診療科や各部署の取り組みをご紹介します。

第21回

チーム医療で小さな命救う

周産母子センター長

吉田 丈俊

国内では33人に1人が新生児期に何らかの治療が必要とされる。体重500グラムで生まれたり、心臓に重い病気があったりするケースもある。そうした重症の小さな尊い命を救うことがセンターの使命である。
センターには、新生児を集中的に管理・治療する新生児集中治療室(NICU)12床などを備える。医師や臨床心理士らがチームを組んで年間約120人を継続的に診療しており、「チーム医療が充実していることが最大の特徴だ。これをさらに伸ばしていかなければならない」と話す。

 

●24時間面会目指す

県内に限らず、石川や新潟県からも多くの新生児を受け入れるのは、このためだ。昨年からは入院している新生児の家族が夜間でも面会できるようにした。「将来的には24時間いつでも面会できる態勢を整えたい」と語り、今後も家族をサポートしていく考えだ。
予防医学を充実させることも、自らの責任と心得る。研究面では、早産の子どもがメタボリック症候群などの生活習慣病になりやすいかどうかを調べている。新生児期に疾患があった子が成人期にどんな病気になりやすいかが分かれば、その後の治療に役立てることができるからだ。
小学生の頃には、医師になると決めていた。幼少期は病気がちで、自宅そばの病院にたびたび運び込まれた。その際、医師に十分な対応をしてもらい、医師が人に喜びを与える職業であることも知った。そうした体験があったため、自然とこの道に進むことになったと振り返る。
医療の現場では、患者全てが無事に退院していくわけではない。自分が最初で最後の担当医になる可能性もある。その責任を重く受け止め、「子どもの両親に『この病院を選んで良かった』と思ってもらえる医療を提供していきたい」と強調する。
チームスタッフは全員、「ベビー・ファースト」というアルファベット入りのTシャツを身に着けて診療に臨む。赤ちゃんのことを第一に考えた診療。何よりも大切にしなければならないと信じている。

よしだ・たけとし 大阪府出身。富山医薬大(現富大)医学部卒。富山医薬大大学院修了。糸魚川総合病院小児科医長、ドイツ留学などを経て、2010年から富大附属病院周産母子センター長、准教授。
吉田 丈俊