進化続けるレーザー治療
皮膚科診療科長
清水 忠道「皮膚は内蔵の鏡」と言われる。皮膚疾患は、原因が皮膚にあるもの以外に、全身疾患の部分症状として現れることも少なくない。そうした皮膚疾患を扱う総合診療科のトップは「湿疹から悪性腫瘍までを全て診て、質の高い医療を提供したい」と強調する。
皮膚科に設けられた専門外来には、アトピー性皮膚炎や脱毛症、水疱(すいほう)症などがあり、その中でも力を入れているのがレーザー治療である。主に「赤あざ」の治療に用いる血管腫用レーザーをはじめ、「しみ」や「黒、茶、青あざ」向けの良性色素性病変用レーザー、ほくろを除去する炭酸ガスレーザーなどを備えており、県内医療機関の中でも充実している。
かつては手術で患部を取り除いたり、経過を見たりするしかなかった症状も、今ではレーザー治療が有効な手段の一つとなっている。その技術は進化し続けており、週1回の外来には年間約千人が訪れる。それでも、レーザーが全く効かない疾患もあり、「まずは専門医が正確な診断を行い、それに基づいた適正な治療を丁寧に行っていきたい」と語る。
●心のケアも重視
特徴的な医療として、円形脱毛症の治療も行う。重症患者向けに紫外線療法や局所免疫療法、ステロイドパルス療法を実施しており、年齢や症状に合わせた治療を施す。患者の中には、若い女性もおり「病気そのものの治療はもちろん、心のケアにつながる診療を大切にしていきたい」と意欲を示す。
十数年前、前任地の北海道大病院で円形脱毛症の少女を担当したことが、印象に残っている。症状が完治した少女から、感謝の言葉がつづられたプレートを贈られ、今も自らの部屋で大事に飾る。「こういう人たちを救うのが医師の使命。これを見るたびに、もっと頑張らなければならないと思う」と話す。
研究面ではアトピー性皮膚炎に対する漢方治療の確立などに取り組む。皮膚疾患に苦しむ多くの人を救うため、病気に立ち向かう覚悟である。