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富大病院最前線

看護倫理養い、真の優しさを

富大病院最前線 富山新聞にて隔週火曜日連載中

各診療科や各部署の取り組みをご紹介します。

第5回

看護倫理養い、真の優しさを

副病院長(看護担当)・看護部長

米道 智子

心を砕くのは、現場で働く看護師たちへの教育である。高度な看護技術に加え、高い看護倫理を持った人材を育てるのが使命と心得る。 「新人の看護師に言っているのは、患者への優しさは情の部分だけではないということです。科学的な根拠に基づいたものが背景にある。それが看護師の本当の優しさなんです」
入院時はもちろん、退院後の薬の飲み方や食事の仕方に至るまで、患者の相談に親身に乗ることのできる看護師。そんな頼れる存在になるには、患者の生活に寄り添う心と的確な知識が求められる。
自分たちの提供している看護が本当に質が高いのかをチェックするため、病棟単位で外部評価を受けるなど、研鑽を怠らない。そうやって、技術と知識、心を鍛えていく。
看護師、助産師、看護助手648人を束ねる。重責を担う大ベテランも、若いころには、迷ったことがあった。
新潟大医療技術短期大学部で学び、看護の仕事が少しずつ見え始めてきたころ、「この道に向いているのかな」と悩み、学校をやめることも考えた。
「看護は人と人の関わりが多い大変な仕事。自分にそれをこなす度量があるだろうかと思った」

 

●患者と向き合い成長

そんな時、恩師から言葉をかけられた。「人は自分を変えることができる」。以来、その言葉を胸に歩み続けてきた。患者と向き合う中で成長したと、いつも感じている。
「自分で自分を変えたというより、患者さんの言葉で変わったと思うんです。患者さんから『ありがとう』と言われることで、『自分もやれる』『そばでお世話がしたい』という気持ちがわいてきた」
昨年4月、看護部長と同時に副病院長という大きな仕事を任された。「苦労を感じるというより楽しいです。よい体制を整えて、よい看護を提供したいという夢がありますから」
これからも現場スタッフとともに、成長していきたいと意気込んでいる。

よねみち・ともこ 山形市出身。新潟大医療技術短期大学部卒、同専攻科修了。富大医学部看護学科臨床教授。認定看護管理者。
米道 智子