近年、がん治療に伴う外見変化が、生活の質(QOL)を低下させることや、治療後の外見に関する満足度がQOLに関連していることなどが、これまで明らかにされてきています。そのため吐き気や倦怠感、しびれといった副作用だけでなく、外見に影響する副作用対策も重要です。
当院では、がん治療を行う診療科、形成外科、皮膚科が連携し、お薬だけでなく化粧品など日常のお手入れ用品を使った方法、あるいは心理的な支援を行い、患者さんの外見に関わる問題解決を目指すアピアランスケアチームを発足しました。
アピアランスケアに関しては、まだまだ確立された方法が少ないのが現状です。そのため、患者さんと共に最善の方法を選んでいく必要があります。がん相談支援センターが窓口となっていますので、皆さんお気軽にお立ちよりください。
がんやがん治療にともなう外見の変化による苦痛を和らげるケアです。外見をきれいにすることだけではなく、爪や皮膚のケア、脱毛のカモフラージュなどの医学的・整容的なサポートとともに、ありたい自分でいられるように周りの環境や患者さんの気持ちを整える心理的なサポートも含まれます。
抗がん剤による脱毛は、その容姿の変化による心理的負担が大きく、自尊心の低下、社会参加の減少、就業困難などにつながることあります。脱毛による容姿の変化を伴いながらも生活面や経済面でも治療前と変わらない状態で治療を続けることが重要です。脱毛の相談=ウィッグの紹介と思われる方もいますが、脱毛状態を隠しても隠さなくても、その人らしく生活が営めるよう支援しています。
脱毛予防として頭皮冷却法があります。クーリングキャップを装着し頭皮を冷やすことにより毛髪を作る細胞への血流を減らし、毛根への抗がん剤の作用を少なくすることで脱毛を抑制するものです。また、脱毛が起きた場合には容姿の変化を補完するウィッグを使用することで、脱毛そのものをカモフラージュするだけでなく、病的な印象も軽減でき、より気持ちを強く保つこともできます。個別の事情(仕事や育児などの生活状況、お手入れ、価格)に合わせた説明を行っています。
化学療法終了後に再発毛促進やヘアカラー・パーマに関する相談がよくあります。推奨する科学的根拠が少ない中ではありますが、ヘアマッサージ、ヘアカラー・パーマのタイミングについても紹介しています。
抗がん剤は皮膚の変化や爪の変化をもたらします。手足症候群という手や足に痛みや皮膚変化をもたらす副作用では、対策として予防的に保湿薬の塗布が行われています。よく使用される保湿薬には、白色ワセリンやヘパリン類似物質含有製剤、尿素製剤などがあります。
色素沈着が見られた場合のカモフラージュとして、ファンデーション等のメイクアップ製品を使用できます。ただし抗がん剤により皮膚のバリアー機能が低下していることが多いため、過剰な摩擦や刺激を避ける必要があります。
爪は弱く薄くなり、割れやすくなることがあります。もろくなった爪を整えるためにネイルファイル(爪やすり)を使用したり、保護するためにマニキュア(ネイルポリッシュ・ネイルエナメル等)を用いる場合があります。また、爪の水分含有量を最適化するため、保湿することも勧められます。
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