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富山大学附属病院の先端医療

[Q&A]Q:食道がんの内視鏡治療について教えてください―食道がん

富山大学附属病院の先端医療

光学医療診療部

Q:食道がんの内視鏡治療について教えてください―食道がん

藤浪斗/准教授

Q: 早期であれば内視鏡治療は可能ですか?

A:胃や食道、小腸や大腸を消化管といいます。消化管の早期がんの多くは、内視鏡治療が可能ですが、早期がんであってもリンパ節に転移している、または、リンパ節転移の可能性があるものに対しては、内視鏡治療だけでは不十分です。そのため、食道・胃・大腸の早期がんに対する内視鏡治療には一定の基準が設けられています。

早期食道がんは、がんの深さが粘膜内にとどまっているものを指しますが、内視鏡治療の絶対適応(内視鏡治療のみで治癒が期待できるもの)となるものは、その中でもEPとLPMに限られる(図1の絶対適応を参照)ため、かなり早い段階で発見されないと内視鏡治療の恩恵を受けることができません。ほんの少し深く浸潤したMMやSM1では(図1の相対適応を参照)、内視鏡治療で完全治癒が期待できないため、放射線+抗がん剤の治療や手術を追加で行う必要があります。このような早期食道がんは、バリウム検診では発見されず、最新の内視鏡機器による検診で発見されています。

Q:どのように内視鏡治療を行うのですか?

A:食道は、口から胃をつなぐ長さ約30cmほどの管状の臓器です。食道は、気管や肺、心臓や大動脈といった生命を維持するために必要な臓器に囲まれています。そのため、食道がんの手術は難しいと言われています。また、内視鏡治療を行う場合でも、食道の壁の厚みはわずか4mmしかないため、胃の内視鏡治療に比べると非常に難易度が高く、治療経験の多い病院で治療を受ける必要があります。

内視鏡治療の代表的な方法として、内視鏡的粘膜切除術(EMR)と、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の2つがあります。EMRでは、ひとまとめに切除出来る大きさに制限があるため、大きながんの切除は困難でしたが、ESDでは、がんの範囲に合わせた切除が可能であるため、当院では1cm以上の早期食道がんに対しては積極的にESDを行っています。

食道ESDの手順を(写真1)で説明します。食道ESDは、病変粘膜のまわりを電気メスで1周切り、切り取った粘膜を粘膜下層の深さではぎ取る方法です。まず、がんの範囲を明確にするため、周囲にマーキングします(写真1a・b)。次に、粘膜の下にヒアルロン酸溶液を注入して壁を厚くします。そうすることで、筋層に傷をつけることなく、粘膜だけを切ることができます(写真1c)。粘膜下層にも、ヒアルロン酸溶液注入をして、しっかりと確認しながら剥離することで、がんをすべて切除します(写真1d・e・f)。

当院では、安全で確実な食道ESDを行うために、すべての治療を手術室にて全身麻酔で行い、食道の薄い壁を傷つけないように切開・剥離するため、小型のハサミ型電気メス(写真2)を用いることで、術中合併症の少ない良好な治療成績をあげています。

Q:内視鏡治療なので2〜3日で退院できますか?

A:一般的に内視鏡治療は、切らずに治る負担の少ない治療と認識されています。しかし、内視鏡治療といえども、手術に準じた治療であり、重篤な合併症を起こす可能性があります。特に、食道がんの内視鏡治療では、食道に孔があくと、重度の合併症を引き起こすことがあるため、決して簡単な治療ではありません。当院では、治療中の合併症発生に十分注意を払いつつ、治療後についても十分な観察を行うため、約1週間の入院治療を行っています。

一言メモ

  1. 「内視鏡検査」が早期食道がん発見の最適な方法です。特に、アルコールを飲んですぐに赤くなる人(以前は赤くなっていた人)は、食道がん発症のリスクが高いですので、積極的に内視鏡検査を受けるようにしてください。
  2. 早期食道がんの内視鏡治療は、十分な経験のある施設での治療をお勧めします。

図:食道の壁の構造です。がんの深さにより内視鏡治療の適応が決まります。

写真1a:見た目でほとんど分からない状態が、内視鏡治療可能な早期食道がんです。
写真1b:ヨード染色でがんの範囲を明らかにし、マーキング(白い点)を行います。
写真1c:マーキングに沿ってがんの周りの粘膜を1周切ります。
写真1d:粘膜の下にもぐり込み、粘膜下層をハサミ型ナイフで正確に剥離します。
写真1e:筋層への傷なく、安全・正確に切除が完了しました。
写真1f:切除した食道がんです。病理検査を行い、治療効果を判断します。

写真2:刃の長さはわずか3.5mmで、細やかな治療が可能です。

表1:手術室で行った場合の治療成績

0〜9

A〜Z

あ行

か行

さ行

た行

な行

は行

ま行

や行

ら行