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富山大学附属病院の先端医療

[Q&A]Q:小児がん―小児がん

富山大学附属病院の先端医療

小児総合内科

Q:小児がん―小児がん

野村恵子/准教授

Q:子どものがんについて教えてください

A:小児がんは、大人のがんと違って、早期発見が難しく、初めは風邪や胃腸炎と思われがちです。最も多いのは白血病で、小児がん全体の約4割となっています。白血病細胞の増加によって正常な血液細胞が造られなくなるため、発熱や関節痛のほか、紫斑が増えたり、血が止まりにくくなったりします。次いで多いのが脳腫瘍で、2割を占めます。頭蓋内圧が高くなるため、頭痛や嘔吐のほか、手足が麻痺したり、顔がゆがんだり、歩行の際によろけたりするなどの症状が出ます。視力が低下したり、尿が増えて異常に水分を欲しがったり、けいれんを起こしたりするケースもあります。このほか、リンパ腫や神経芽腫、網膜芽腫、肝芽腫、腎芽腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、卵巣や精巣から発生する胚細胞腫瘍、組織球症などがあります。成人とは性質の異なるものがほとんどです。種類が多く、専門家が少ないため、小児血液・がん専門医が常勤する病院が集約化されてきています。当院は東海・北陸ブロック小児がん地域連携病院に指定されており、小児がん拠点病院と連携しています。稀少な思春期・若年成人(Adolescent and Young Adult:AYA)世代のがんについても、大人の診療科と協力して向き合っています。

Q:大人と子どもでは治療方法が異なるのでしょうか?

A:子どものがんは、化学療法や放射線療法に対する感受性が高いとされます。大人よりも治療効果が期待できるわけです。しかも、この20年ほどで小児がんの治療は目覚ましい進歩を遂げました。化学療法を中心に、外科的治療(手術)や、放射線療法を組み合わせた集学的治療によって、患者さんの7〜8割はがんを克服できるようになりました。たとえ進行期であっても、化学療法に対する感受性の高い腫瘍であれば、大量化学療法や造血細胞移植を行うことによって、治癒が期待できることもあります。ただ、小児がんの2〜3割は難治性で、命を失う子ども達もいます。5歳以上の子どもの死亡原因で自殺を除いて最も多いのが実情です。当院を含め、国内の多くの病院は、現在、日本小児がん研究グループ(JCCG)に属して、共同の臨床研究による統一した治療を行っています。大人のがんに比べて患者数が少ないため、診断の精度や治療成績の底上げを図っていくのが狙いです。がんゲノム医療を希望され、対象となる場合には、がんゲノム医療推進センターと協力して遺伝子パネル検査を行っています。

Q:小児がんを発症した子どもの心のケアや、長期フォローアップは?

A:多感な時期だけに、小児がんを発症した子どもの心のケアも大きな課題です。子どもの発達段階に応じて、可能な限り病気について詳しく説明するよう努めています。言葉遣いに気を配るのはもちろん、理解を助けるために絵本や人形を用いることもあります。前向きな姿勢で治療に臨んでほしいという思いからで、子どもたちには常に「私たちは一緒に病気と闘う仲間」とのメッセージを発信しています。医師や看護師、薬剤師だけでなく、子どもの成長発達に適した療養環境を整えるため、保育士、院内学級(小学校・中学校)教師、チャイルドライフ・スペシャリスト、ソーシャルワーカーらと連携を図っています。臨床心理士によるカウンセリングや、発達検査も行っています。トータルケアこそが、治療の鍵になるからです。また、患者さんに健康な兄弟がいる場合、家族の生活が一気に患者さん中心のものとなってしまわないよう配慮しています。治療法の進歩によって、現在は小児がん経験者が増えてきています。がんを根治した子どもは、その後50年以上生きていくことになります。治療による成長への影響を見守るとともに、就学や就労、生殖機能や妊娠・出産などに支障がないか、長期的にフォローアップしていかなければなりません。こうしたことも私たちの重要な役割だと考えています。総合がんセンターの小児・AYA世代・妊孕(にんよう)性センター、がん相談支援センターへ気軽にご相談ください。

一言メモ

  1. 小児がんの治療では、多職種のチーム医療によるトータルケアを目指しています。
  2. 日本小児がん研究グループ(JCCG)に参加し、多施設共同臨床研究により診断の精度や治療成績の向上を図っています。
  3. 治療が終わったあとの長期フォローアップも大切です。
  4. 小児・AYA世代・妊孕性センター、がん相談支援センターへ気軽にご相談ください。

図1:小児がんの割合

参考資料:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」小児・AYA世代のがん罹患データ(2009年〜2011年)2018年

図2:日本小児がん研究グループ(Japan Children’s Cancer Group:JCCG)

小児がんの子どもたちを救おうと、全国から医療の専門家が結集しました

写真1:造血幹細胞移植

当院は日本骨髄バンク・臍帯血バンクの移植認定病院です

写真2:小児・AYA世代・妊孕性センター

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