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乳がん先端治療・乳房再建センター

乳がん先端治療・乳房再建センター

診療待ち日数

組織生検検査 来院日
画像検査 来院日
遺伝学的検査 1週間
化学療法 1週間
手術 1週間
(同時再建 4週間)

特徴・特色

医療の進歩とともに乳がんの治療も様々な分野の検査、治療があり、たくさんの専門的技術が必要となりました。2020年1月から富山大学附属病院に形成再建外科・美容外科が開設され、乳がん治療の一つである再建術を自施設で行うことができるようになりました。乳がんが疑われたときの診断、手術を中心とした初期治療、放射線照射による補助療法、再発時の化学療法や遺伝子診療、緩和ケアすべてがセンターにて協力体制を整えるため、この乳がん先端治療・乳房再建センターを2月より設立いたしました。大学病院としてのメリットを最大限に活用し、各専門部門が密接に連携してチーム医療として治療体制を提供できるようになりました。患者様の治療についてキャンサーボードを毎週開催し、十分に治療検討を行い質の高い医療を目指しています。

・アピアランスケア

がんやがん治療にともなう外見の変化による苦痛を和らげるケアです。外見をきれいにすることだけではなく、爪や皮膚のケア、脱毛のカモフラージュなどの医学的・整容的なサポートとともに、ありたい自分でいられるように周りの環境や患者さんの気持ちを整える心理的なサポートも含まれます。近年、がん治療に伴う外見変化が、生活の質(QOL)を低下させることや、治療後の外見に関する満足度がQOLに関連していることなどが、これまで明らかにされてきています。そのため吐き気や倦怠感、しびれといった副作用だけでなく、外見に関わる副作用対策も重要です。
アピアランスケアは患者さんが自分自身について自信を持って表現し、より良い生活を送るための支援を提供することにつながります。患者の外見上の問題や皮膚の乾燥や荒れ、口内炎、まつ毛や眉毛の脱毛など様々な副作用に対応することができます。また、患者の精神的な側面にも配慮しており、ストレスや不安、疲労感などの問題にも対応することができます。また、外見の変化は患者の精神的な側面にも影響しており、アピアランスケアの介入を行うことでストレスや不安、疲労感などの問題にも対応することにつながります。これらのサポートは、患者が副作用に対処するための新たな手段を提供し、より良い生活を送る支援となります。
2023年2月1日当院総合がんセンターに、がん治療を行う診療科、形成外科、皮膚科が連携し、薬剤だけでなく化粧品など日常のお手入れ用品を使った方法、あるいは心理的な支援を行い、患者さんの外見に関わる問題解決を目指すアピアランスケアチームが発足しました。

・脱毛予防

化学療法の副作用で最も多い脱毛症は患者にとって最も苦痛なものの1つであります。乳癌脱毛症自体は直接生命を脅かすものではありませんが、重大な心理的負担を伴います。当センターでは2021年3月より脱毛予防のための頭皮冷却装置を導入いたしました。化学療法中に頭皮を冷却することで脱毛を予防いたします。また、脱毛した場合でも発毛の回復が早くなる効果があります。現在年間30名以上の方がご使用されています。

脱毛予防 化学療法終了12週間後の状況

・乳がんになる前の予防的切除

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)で、すでに乳がんを発症した場合は、反対側の乳房ががんになる前に予防的に切除するリスク低減乳房切除術(RRM)というものがあり、この治療が保険診療となりました(2020年4月)。また、HBOCの方でまだがんを発症する前に両側のRRMを施行し乳がんを予防する治療も当センターでは可能です。さらに形成外科と連携し同時再建も可能で、再建方法も自家再建や脂肪注入を行うことで軟らかく温かみのある自然な形の乳房を作ることができます。

・再生医療を応用した乳房再建

患者様自身から吸引した少量の脂肪から幹細胞を分離・培養し、それを脂肪と一緒に乳房欠損部に注入する再建を行っています。この脂肪組織由来幹細胞の投与は脂肪吸引量を減らしかつ生着率が向上します。当センターではこのような再生医療を応用した乳房再建が可能です。

・認定遺伝カウンセラーによる遺伝カウンセリング

遺伝カウンセリングでは、遺伝に関する様々な心配や疑問をお持ちの方の相談に対応しています。患者様だけでなくご家族もご利用できます。当院の遺伝カウンセリングは、臨床遺伝専門医と北陸唯一の認定遺伝カウンセラーが中心となり対応しています。

診療体制・業務内容

各専門分野を担当する部門についてご紹介いたします。

1.外科部門:藤井 努 教授、松井恒志 診療准教授、
  倉田典子 乳がん看護認定看護師

  • 手術を中心とした部門で乳房部分切除、乳房全切除やリンパ節郭清を行っており、年間約130症例の手術を行っています。内視鏡手術も行っており、小さな傷で手術を行うことが可能です。形成外科とも連携し乳房再建も積極的に行い、治療だけでなく整容面にも配慮した総合的なケアを行います。
  • 蛍光法およびRI法を併用した最新のセンチネルリンパ節生検も提供しています。この方法により術前化学療法後でも正確なセンチネルリンパ節生検が可能となり、その結果リンパ浮腫のリスクが軽減します。
  • 乳がんになりやすい遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の方へリスク低減乳房切除術(RRM)が可能で、すでに乳がんを発症した方、あるいは未発症の方も治療が受けられます。
  • 術前術後、あるいは再発時の化学療法も外科部門で行っており、最新の薬剤を導入し、施設が限定された薬剤も使用が可能です。遺伝子パネル検査を積極的に行い、新規の治療の検索も行っています。抗がん剤は化学療法センターと連携し、安全性を重視し、副作用にも迅速に対応します。脱毛予防のための頭皮冷却装置を導入し、アピアランスケアも含めて積極的に副作用の軽減に努め、患者様の高いQOLの維持を目指しています。
  • 乳がん看護認定看護師による心理的サポート、治療選択への支援、アピアランスケア(例:手術後の傷跡ケア、手術後の下着についての相談、抗がん剤治療中の脱毛へのケア)、術後リハビリ、リンパ浮腫予防、抗がん剤治療中のセルフケア支援、遺伝や生殖医療に関する相談など、がんの告知から最期を迎えるまで継続して関わります。

2.形成外科部門:佐武利彦 教授、小野田聡 講師、葛城遼平 特命助教

乳房再建で失った乳房を美しく治すことが可能で、患者様の生活の質“Quality of Life”の向上に貢献します。
この部門を担当する佐武医師は「あたたかく、やわらかく、美しい」乳房再建を目指し、これまで自家再建においては日本トップクラスの手術件数を経験しており、本邦を代表する再建外科医です。県内外から再建を希望して多くの患者様が来院されています。

  • 乳がん手術全体における乳房再建率は全国平均で約17%です。富山県は10%に満たない状態で、そのほとんどが人工物再建です。近年、人工物再建後の未分化型大細胞リンパ腫(BIA-ALCL)が発症すると報告され、その適応は慎重に行い十分な経過観察が必要であります。しかし、遊離皮弁や脂肪注入などの自家組織再建ではその心配がなく、自然な大きさと形の乳房ができる方法です。
  • 再生医療の技術を乳房再建に応用しており、乳房の組織欠損部に患者様自身の脂肪組織由来幹細胞の投与を行っています。これは吸引した少量の脂肪から幹細胞を分離・培養し、それを脂肪と一緒に乳房欠損部に注入する乳房再建法です。この方法は吸引する脂肪量を減らしつつ、移植脂肪の生着率を向上させる効果が期待できます。
  • 患者様の状況により、がん手術と同時に再建を行う場合と、しばらく経過してから再建する場合があります。再建法には自家組織再建(穿通枝皮弁法・脂肪注入法)、人工物再建(インプラント法)など、患者様のご希望に沿った選択が可能です。また最近では、乳房温存手術後の部分欠損や変形に対しては、オンコプラスティックサージェリー手技(部分的な修復)を行い、根治性と整容性のバランスを両立させています。
  • 乳がん術後のリンパ浮腫に対して、手術治療と患者さん自身が日々行う圧迫治療などのセルフケア(複合的理学療法)をあわせて行います。多職種からなるリンパ浮腫の治療チームを構築して、個々の患者さんに最適な治療を提供しています。

3.遺伝子診療部門:仁井見英樹 准教授、福田 令 認定遺伝カウンセラー

遺伝性乳がんの診断や遺伝カウンセリングを担当します。

  • 遺伝カウンセリングを通して遺伝に関するさまざまな心配や疑問へのご相談に対応し、適切な情報を提供するとともに、一緒に最善の解決法や今後の対策を考えます。患者さんご本人だけでなく、ご家族からの相談もお受けしています。各診療科と連携しながら、臨床遺伝専門医と認定遺伝カウンセラーが中心となり対応しています。
  • 遺伝子の検査を受けるかどうか検討する場合にも、患者さんの背景やご家族の情報を基に、遺伝性のがんである可能性を検討し、実際に遺伝子検査を受けるかどうかを話し合います。
  • 乳がんの場合、その約10%は遺伝性(特定の遺伝子が影響して発症している)の乳がんと考えられています。その中で最も多くの割合を占めるのが、BRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子が関わる遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)症候群です。生まれつきこの遺伝子に変化(病的変異)がある場合、一般よりも、乳がんや特定のがんになりやすいことがわかっており、当センターで検査、診断が可能です。主治医または遺伝子診療部にご相談ください。 遺伝子検査の実施も含めて対応いたします。

仁井見英樹 福田令

4.がんゲノム・集学的がん診療部門:林 龍二 教授

最新の抗がん剤や分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害剤を積極的に導入しています。

  • がん遺伝子パネル検査:“次世代シークエンサー“にて100以上の遺伝子を同時に調べます。遺伝子変異が見つかった場合には、複数の専門家で構成された委員会(エキスパートパネル)によって検討され、効果が期待できる薬があるかどうかを探索します。当院はがんゲノム医療拠点病院であるため、このような検査を施設単独で行うことが可能であり、また、他院からの検査依頼も受けております。
  • 緩和医療部門ではがん患者さんの痛みに寄り添い、つらい闘病生活を支えます。どんな悩みでも、いつでもお気軽にご相談ください。

林 龍二 教授

5.放射線診断部門:野口 京 教授

術前にがんの進行度を把握するために、CT検査やMRI検査を行います。3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)を導入しており、この3Dマンモグラフィを用いることで、がんの発見率の増加と良性疾患を正確に診断する能力が向上しています。特に日本人に多い“高濃度乳腺”においても乳がん検出能が向上しています。

野口 京 教授

6.放射線治療部門:齋藤 淳一 教授

乳房温存療法の場合、術後に全乳房に放射線治療を行うことが標準的です。通常は治療期間は5~6週間ですが、特にリスク因子がない場合は治療期間が3~4週間の寡分割照射も効果は同等とされています。当センターでは加速乳房部分照射(SAVI)を導入しており、初回手術の入院中に放射線治療を完遂することも可能です。
また、乳房全摘手術の場合にも病態によっては術後放射線治療を行うことがあります。

放射線治療部門 放射線治療部門

齋藤 淳一 教授

7.病理部門:平林 健一 教授

検査により患者さんの体内から採取された組織を顕微鏡で最終診断し、最善の治療を検討する判断材料とします。乳房のしこりや分泌物の原因を判断し良性、悪性を診断します。また、乳がんの種類や性質、広がりや進行状況を診断し、術前術後の補助療法の必要性や最新の薬剤の適応を判断します。
手術で切除した組織も顕微鏡診断を行い、進行度や治療効果などを判定し、患者さんのその後の治療を決定するのに大変重要な役割を担っています。

平林 健一 教授

診療スタッフ

職名 氏名 担当分野 資格
センター長
外科部門責任者
教授
藤井 努 外科部門 日本外科学会 専門医・指導医・代議員
日本消化器外科学会 専門医・指導医・評議員
日本肝胆膵外科学会 評議員・肝胆膵外科高度技能専門医・指導医資格認定委員・技術認定委員
日本消化器病学会 専門医・北陸支部評議員
日本膵臓学会 評議員・指導医・膵癌治療ガイドライン検討委員・膵癌取り扱い規約検討委員・膵疾患臨床研究推進委員
日本胆道学会 指導医
日本肝臓学会 専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本癌治療学会 代議員
日本臨床外科学会 評議員
Fellow of the American College of Surgeons International
Association of Surgeons Gastroenterologists and
Oncologists (IASGO) (Faculty member, Surgical section)
副センター長
形成外科部門責任者
教授
佐武 利彦 形成外科部門 日本形成外科学会 形成外科専門医・評議員
日本外科学会 認定医・専門医・指導医
日本乳癌学会乳腺認定医
日本手外科学会手外科専門医
日本美容外科学会専門医・評議員
日本形成外科学会 再建マイクロサージャリー分野指導医
日本形成外科学会
小児形成外科分野指導医
日本形成外科学会皮膚腫瘍外科分野指導医
日本美容医療協会美容レーザー適性認定医
臨床研修指導医
難病指定医
乳房再建用エキスパンダー/インプラント責任医師
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会評議員
日本褥瘡学会評議員
米国形成外科学会正会員
米国外科学会正会員(FACS)
国際美容外科学会正会員
副センター長
外科部門責任者
診療准教授
松井 恒志 外科部門 日本乳癌学会 専門医・指導医・評議員
日本オンコプラスティックサージャリー学会 評議員
日本内分泌外科学会 専門医・指導医
日本外科学会 専門医・指導医
検診マンモグラフィ読影認定医
乳がん検診超音波実施・判定医
乳房再建用エキスパンダー/インプラント責任医師
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本消化器外科学会 専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会 専門医
日本肝臓学会 専門医
日本内視鏡外科学会 技術認定医
日本肝胆膵外科学会 評議員・高度技能専門医
副センター長
遺伝子診療部門責任者
仁井見 英樹 遺伝子診療部門 日本臨床検査医学会 専門医・管理医・評議員
日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医
日本遺伝子診療学会 理事
日本臨床化学会 理事
日本臨床微生物学会 認定医
がんゲノム・集学的がん診療部門責任者
教授
林 龍二 化学療法、緩和医療部門 日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医・指導医
日本呼吸器病学会 代議員・専門医・指導医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本アレルギー学会 専門医
日本気管支内視鏡学会 専門医
日本結核病学会 結核・抗酸菌症認定医
日本内科学会 総合内科専門医
放射線診断部門責任者
教授
野口 京 放射線画像診断部門 日本医学放射線学会 代議員・診断専門医
日本核医学会 評議員・PET核医学認定医
日本磁気共鳴学会
北米放射線学会
米国神経放射線学会
日本神経放射線学会
日本脳ドック学会
放射線治療部門責任者
教授
齋藤 淳一 放射線治療部門 日本医学放射線学会 放射線治療専門医
日本放射線腫瘍学会 代議員
日本癌治療学会
日本肺癌学会
日本放射線外科学会
日本ハイパーサーミア学会
日本頭頸部癌学会
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
第1種放射線取扱主任者
病理部門責任者
教授
平林 健一 病理診断、細胞診断 日本病理学会 病理専門医・指導医・評議員
日本病理学会 分子病理専門医
日本臨床細胞学会 細胞診専門医・指導医・評議員
日本膵臓学会 認定指導医
形成外科部門 小野田 聡 形成外科部門
リンパ浮腫治療
形成外科専門医(日本専門医機構)
形成外科指導医(日本専門医機構)
日本形成外科学会 再建マイクロサージャリー分野指導医
日本形成外科学会
小児形成外科分野指導医
日本形成外科学会
皮膚腫瘍外科分野指導医
日本頭蓋顎顔面外科学会専門医
乳房再建用エキスパンダー/インプラント責任医師
臨床研修指導医
緩和ケア研修会修了
日本リンパ浮腫治療学会四国地方会世話人
形成外科部門 葛城 遼平 形成外科部門 日本乳癌学会 乳腺専門医
日本外科学会 外科専門医
がん治療認定機構 がん治療認定医
検診マンモグラフィ読影認定医
乳がん検診超音波検査実施・判定医
外科部門 荒木 美聡 外科部門 日本乳癌学会
日本外科学会
外科部門 金谷 瑛美 外科部門 日本乳癌学会
日本外科学会
検診マンモグラフィ読影認定医
遺伝子診療部門 福田 令 遺伝カウンセリング 日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会共同認定 認定遺伝カウンセラー
乳がん看護認定看護師 倉田 典子 乳がん看護 日本病理学会 病理専門医・指導医・評議員
日本病理学会 分子病理専門医
日本臨床細胞学会 細胞診専門医・指導医・評議員
日本膵臓学会 認定指導医

外来担当表

曜日 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
外科
初診・再診
形成外科
初診・再診
リンパ浮腫 乳房再建   乳房再建

乳がん先端治療・乳房再建センター