ホーム

お知らせ一覧

各診療科からのお知らせ

食物アレルギーで通院している皆様へ ~急速経口免疫療法について~

食物アレルギーで通院している皆様へ ~急速経口免疫療法について~

2017年11月14日に報道がありましたように、神奈川県立こども医療センターにおいて、牛乳アレルギーに対する急速経口免疫療法の維持療法中に重篤な有害事象が発生しました。お子さんの1日も早い回復を祈るばかりです。

 

本院小児科におきましても、食物アレルギーに対して急速法を含めた経口免疫療法や食事指導を行なっております。今まで当院では重篤な有害事象は発生しておりませんが、治療中の皆様には今一度、日常生活においてご注意いただきたく思います。

 

病院で行う食物アレルギーへの対応には、以下のような方法があります。

  1. 食物除去:原因食物の摂取を行わない
  2. 食事指導:食べられる範囲(=閾値)で原因食物を少量摂取する
  3. 経口免疫療法:食べられる範囲(=閾値)を超えて原因食物の摂取量を徐々に増量していく(短期間で増量する「急速経口免疫療法」と比較的ゆっくりしたペースで増量する「緩徐経口免疫療法」があります)

 

通常の診療では、病院で食物負荷試験を行うなどして食べられる範囲(=閾値)を決め、その後自宅で閾値の範囲内で摂取を続け、一定期間が経ったら再度負荷試験を行って食べられる範囲(=閾値)が広がったことを確認し、またその範囲で摂取を続けるということを繰り返します。これは「食事指導」にあたり、今回有害事象が発生した「経口免疫療法」とは異なる方法です。しかし、この場合においても、通常食べられる範囲内であっても、その時の体調が悪かったり、摂取後に激しく運動したりすると、予想外の症状が誘発されることがあります。そのため、食物アレルギーが完全に治るまでは、自宅で以下の点にご注意ください。

  • どこまでの食品がどのくらいの量まで摂取可能かについて、本院小児科担当医とよく話し合ってください
  • 通常は食べられる範囲内であっても、本人の体調が悪い時(風邪をひいている、喘息症状がある、下痢をしている、抜歯したばかりなど)には、摂取を控えるか、量をいつもより少なくするなどの配慮をしてください。また、摂取後に激しい運動をしたり、入浴をすることを控えましょう
  • 日頃から、強いアレルギー症状(=アナフィラキシー)がどのようなものかを理解して、発症した時の対応について本院小児科担当医と相談しておいてください

以上です。ご不明な点がありましたら、本院小児科担当医にご相談ください。

 

平成29年11月16日

富山大学附属病院小児科
足立 雄一