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今月の診療科バックナンバー(眼科・感染症科)

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眼科 眼科助教 宮腰晃央

多焦点眼内レンズで、
遠くも近くもクリアな視界を実現します

日々進歩する眼科診療。今ではコンタクトレンズから解放された生活ができるようにまで技術が進んでいます。

 みなさんは眼鏡やコンタクトレンズから解放された生活に憧れはありませんか?眼科の進歩は目覚ましく、白内障手術をきっかけにそのような生活を手に入れられる可能性が出てきています。
 白内障とは眼の中の水晶体が濁る現象を言います。水晶体が濁ると、光がうまく通過できなかったり、乱反射したりするので、視力が低下します。視力低下が進行し、日常生活に支障をきたすと手術が必要になります。手術では、濁った水晶体を超音波で砕いて取り出し、人工のレンズ(眼内レンズ)に入れ替えるという方法が普及しています。
 これまでの眼内レンズは単焦点眼内レンズで、遠くか近くかどちらかにピントが合うレンズであったため、ピントが合う距離以外を見たい時は、ほとんどの場合、眼鏡が必要でした。

左/単焦点レンズ/右/多焦点眼内レンズ

 例えば、遠くが見える度数の単焦点眼内レンズを挿入した方は、本を読んだり、字を書いたり、パソコンを操作する時には近用眼鏡(いわゆる老眼鏡)が必要でした。その点、多焦点眼内レンズでは、遠くと近くの両方にピントを合わせることが可能になります。さらに近々、多焦点眼内レンズに乱視矯正機能がついたレンズも導入します。これまで、乱視の強い方は多焦点眼内レンズの手術を受けられなかったのですが、受けられるようになります。
 当科では白内障手術・多焦点眼内レンズに関しての診察は毎日受け付けております。また、手術の翌日に退院できます。多焦点眼内レンズは先進医療(手術・レンズ代が自費診療 + 手術前後の診察・投薬は保険診療)となります。当科外来診療日は水・金曜日の8時30分〜11時です。
※お問い合せは14時から16時30分の間にお願いします。
 TEL.(076)434-7715

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感染症科 恐染症科診嶽助手 芦澤信之

結核は今も
注意が必要な病気です

結核は過去の病気だと思われがちですが、現在も注意が必要な病気です。正しい知識と対応が予防につながっていきます。

 日本の結核罹患率は年々低下傾向にあり、2012年で人口10万対16.7(21,283人)ですが、多くの欧米先進国の4倍以上のレベルです。結核は空気感染する疾患であり、特に高齢者での高い罹患率や老人介護施設などでの集団感染などは社会的にも問題となっています。
 ツベルクリン反応(ツ反)は、結核菌に対するアレルギー反応を利用した検査で結核感染の診断法として行われています。

 しかし、BCG(結核に対する生ワクチン)接種歴があるとツ反陽性をきたしてしまうため、ほとんどの人がBCG接種を受けている日本では、ツ反での結核診断は困難であるのが実状です。
 結核診断において上記の問題点を解消するために使用されているのが、IGRAテスト(インターフェロンγ(IFN-ɤ)遊離試験:当院採用T-スポット)です。結核は体内に侵入すると、Tリンパ球に感作されます。感作とは、ある抗原に対して敏感な状態にすることをいい、結核菌が体内に侵入してきたときに免疫機構がすぐに働く準備を整えます。IGRAは、BCGには存在せず結核菌に存在する特異抗原を、採取した患者さんの血液と反応させます。T-リンパ球を刺激し産生されるIFN-ɤを測定することで、結核感染の有無を診断します。IGRA陽性は結核診断におけるよい判断材料にはなりますが、最近の感染の他、過去の感染でも陽性になることがあります。高齢者では既感染率が高く、結果の解釈に慎重になる必要があります。臨床症状、血液検査や画像検査、また喀痰などによる結核菌の証明が確定診断の決め手になります。
 結核は診断が遅れると、罹患者本人の治療の遅れにつながるだけでなく、疾患の性質上周囲への伝播が問題となります。早期の診断は非常に重要です。咳(せき)、痰(たん)、微熱、倦怠感(けんたいかん)といった症状が持続する際は、早めに医療機関を受診してください。

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