富山大学附属病院 地域医療総合支援学講座

地域も医師も輝ける地域医療の実現に向けて

地域医療総合支援学講座 客員教授 峯村 正実

 平成29年4月1日に富山県の寄附講座として「地域医療総合支援学講座」が開設されました。富山大学附属病院の最も重要な役割は、最先端の高度な医療を県民の皆様に安全に提供することですが、それに加えて「地域の医療」を守る良質な医師を育て、地域医療に貢献することも重要な使命と考えています。
 この講座の役割の1つは、富山県の医療を支える質の高い医師を増やすための支援をすることです。県内出身の医学生は全体の約3割で、卒業後に出身地(県外)へ戻る医師が多く、県内の初期研修医数は石川県や新潟県に比べ少ない現状があります。富山県による特別枠学生や富山大学医学部が設定した地域枠の学生に対して、地域医療の面白さややりがいを伝えていきたいと思っています。
 また、富山大学附属病院専門医養成支援センターとも協力して、平成30年4月から始まる新専門医制度に対応した研修環境を充実させ、富山県内の初期研修医と専門医を目指す医師が増えるように努力しているところであります。
 もう1つの重要な役割は、医師の不足した地域への医師派遣の支援です。富山県はコンパクトな県で、医療の過疎地域は少ないと全国的には思われていますが、皆様はどうお感じでしょうか?自宅からかなりの時間をかけて大学病院に通院してくださる患者さんも多くおられますが、急病の時や高齢の方にとっては、やはり地元に信頼できる医師がいて欲しいと思っておられると推測します。富山大学では富山県厚生部と協力して、どの地区に何科の医師が必要かを詳細に調査して、最も効率的に医療が提供できる体制を作っていきたいと考えています。
 以上のようなことを通して、高い臨床能力と熱い郷土愛を持った医師の育成を支援し、大学病院と地域の医療機関とのパイプ役として、地域医療に貢献していきたいと思っておりますので、どうぞ宜しくお願い致します。