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セミナー2025/04/11 更新
分散型臨床試験(DCT)体験型セミナー開催のご報告
富山大学附属病院臨床研究開発推進センターでは、2025年3月13日・14日の2日間、「分散型臨床試験(DCT: Decentralized Clinical Trial、以下「DCT」))の実現に向けた体験型セミナー」を開催し、本学教職員等31名が参加しました。
近年、国内外における治験及び臨床研究の分野では、DCTの導入による被験者の負担軽減や研究効率の向上が期待されています。
富山大学附属病院臨床研究開発推進センターは、くすりのシリコンバレーとやま創造コンソーシアム(通称:くすりコンソ)の研究開発事業としてDCT実施に向けた臨床研究のデジタル化の研究をくすりコンソと協働して進めており、がん患者対象の身体・精神状態の問診票(IPOS)をスマートフォンアプリ(ePRO)を用いた観察研究を2024年10月に開始しました。
本セミナーでは、アプリ作成委託先の3Hメディソリューション株式会社が開発したeConsent(電子同意)システム「Uchiken」と、ePRO(電子日誌)システム「3H P-Guardian」を用いて、DCTの実運用を模擬的に体験する機会を提供しました。
開催概要
日時 | 2025年3月13日(木)、14日(金) |
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場所 | 富山大学附属病院 |
主催 | 富山大学附属病院 臨床研究開発推進センター(「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアム2024年度研究開発事業) |
対象 | 富山大学附属病院の医師、看護師、教職員等 |
内容 |
・講義:DCTの概要 *後日オンデマンド配信予定(学内限定) ・操作体験:eConsent(電子同意取得) ・操作体験:ePRO(電子報告アウトカム) (eConsent/ePROは患者・医療者向け両方の画面を使用) |
参加者は「DCTの概要」の説明(DCTの目的、手法、課題等)を受けた後、「eConsent(電子同意取得)操作体験」では、講師のガイドに沿って、医療者用システムにアクセスし、オンライン同意取得のための患者登録や面談のZoom操作を行いました。また「ePRO(電子報告アウトカム)の操作体験」では、まず<患者>の立場でePROアプリを自身のスマートフォンにダウンロードし、症状等の入力・送信を行い、続いて<医療者>の立場でシステムにアクセスし、患者から送信された報告内容を確認しました。体験後の質疑応答では、DCTの活用に係る活発な意見交換が行われ、充実したセミナーとなりました。
本セミナーには、医師、看護師、コメディカル、教職員、学生の参加登録がありました。終了後、操作が難しいとの声もありましたが、DCTシステムを実際に体験でき、貴重な機会だったと感想が寄せられました。今回のようなセミナーでDCTの特徴や活用方法を学ぶことにより、将来的に国内外の治験・臨床研究でDCTを導入する際にも、円滑な対応が期待されます。また、富山大学附属病院におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一環として、教育・研究の質のさらなる向上にも寄与すると考えております。
今後も当センターでは、DCTの実施体制の整備を進めるとともに、DCTを活用した研究の実施、DCTに携わる人材育成や臨床試験受託の促進等を通して、くすりのTOYAMAにおける医療の開発促進に貢献して参ります。
スマートフォンへの
ePROアプリダウンロードの操作体験
参加者と講師との質疑応答の様子