研究者の方へ

特定臨床研究とは

計画中の臨床研究が、臨床研究法でいう特定臨床研究に該当するかどうか、判断に困ることがあると思います。
厚生労働省が公開している判断事例をご参考いただき、それでも判断に迷う場合は臨床研究管理センターにご相談ください。

「特定臨床研究」とは、臨床研究のうち、次のいずれかに該当するものをいいます。
・企業からの資金提供を受けて実施する臨床研究
・未承認・適応外の医薬品等を用いる臨床研究

言葉の定義

「臨床研究」とは、医薬品・医療機器を人に対して用いることにより、当該医薬品・医療機器の有効性又は安全性を明らかにする研究をいう。(観察研究は特定臨床研究ではない) 医薬品等を人に対して用いるとは「医行為(医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼすおそれのある行為)」を指す。 厚生労働省通知より

厚生労働省の判断事例

(略語一覧)

「法」:臨床研究法(平成29年法律第16号)
「QA」:臨床研究法の施行等に関するQ&Aについて(厚生労働省医政局研究開発振興課事務連絡)
※その1:平成 30 年3月 13 日付け、
 その2:同年4月9日付け、その3:同年5月 17 日付け

1.法に規定する臨床研究のうち、特定臨床研究に該当する事例:特定リスト

事例 留意事項等
(1)臨床研究を行う際に、国内の医薬品等製造販売業者の海外子会社から研究資金等の提供を受ける研究 当該臨床研究において、国内の医薬品等製造販売業者は、法第32条の契約締結が適切になされるよう当該子会社を指導することとし、法第33条の情報の公表については、当該医薬品等製造販売業者が行うことが望ましい。
(QAその1問3-4参照)
(2)被験薬は適応内使用かつ当該被験薬の医薬品等製造販売業者又はその特殊関係者から研究資金等の提供を受けていないが、対照薬が適応外使用である又は対照薬の医薬品等製造販売業者若しくはその特殊関係者から研究資金等の提供を受けてい る研究 (QAその3問47-1参照)

2.法に規定する臨床研究に該当する事例(特定臨床研究又は特定臨床研究以外の臨床研究):臨床研究リスト

事例 留意事項等
(1)医薬品を人に対して用いることにより、当該医薬品の薬物動態に係る評価を行う研究 (QAその1問 2-1 参照)
(2)人体への侵襲性が低いものの、医行為を伴い、医薬品等の有 効性(性能を含む。)又は安全性を明らかにする研究 (QAその1問 2-3 参照)
(3)体外診断薬と医療機器が一体化している体外診断薬を人に対して用いる研究 体外診断薬のみを用いる研究は法に規定する臨床研究に該当しないが、体外診断薬と医療機器とが一体化しているものを人に用いる研究は、該当する場合がある。
(QAその1問 5 参照)

3.法に規定する臨床研究に該当しない事例(観察研究等):対象外リスト

事例 留意事項等
(1)医療機器を用いて体温の計測のみを行う研究 このような研究であっても、患者の疾患該当性等について診断を行う場合は、医行為に該当するため、法に規定する臨床研究に該当する。
(2)医療機器の性能の評価を伴わない手術や手技に関する研究 (QAその1問 2-4 参照)
(3)有効性や安全性の評価を目的とせず、医師又は患者から、いわゆる「医療機器の使用感」について意見を聴く調査 (QAその1問 2-5 参照)
(4)医療機器であるマッサージチェアの心地良さのみに関する調査 (QAその1問 2-6 参照)
(5)有効性や安全性の評価を目的とせず、要指導医薬品又は一般用医薬品の使用者からその「使用感」(飲みやすさ、塗りやすさ等)について意見を聴く調査 (QAその2問 30 参照)
(6)放射線治療装置について、承認された範囲内において、さらに詳細な使用方法(照射線量、照射回数等)の違いによる治療 効果の違いを評価することを目的とした研究 承認条件として学会のガイドライン等が示されている場合には、当該ガイドラインにおいて規定される使用方法等の範囲内で使用 される場合に限り、法に規定する臨床研究に該当しない。
(7)医薬品の有効性を評価することを目的とした治験に付随して、当該治験の被験者から血液、組織等の検体を採取し、当該検体における特定の遺伝子変異の有無と、当該治験における有効性の程度を比較することにより、当該医薬品の有効性に影響を与える遺伝子変異を探索的に検討する臨床研究(治験の付随研究)など、いわゆるバイオマーカーの探索的な検討に係る研究 ※ 医薬品の有効性・安全性を明らかにしようとするものではないため 主たる目的がバイオマーカーの探索であっても、副次的に医薬品の有効性・安全性の評価を行う場合など、実質的に医薬品の有効性・安全性を明らかにしようとする研究の場合は、法に規定する臨床研 究に該当する。
(8)PET検査用放射性医薬品(承認の有無にかかわらない)を投与し、アルツハイマー型認知症にかかる画像検査を経年的に行うことにより、アルツハイマー型認知症の自然経過を観察する研究など、疾病の病態解明に係る研究 主たる目的が病態解明であっても、副次的に医薬品の診断に係る性能の評価を行う場合など、実質的に医薬品の有効性・安全性を明らかにしようとする研究の場合は、法に規定する臨床研究に該当する。
(9)人に対して単に電極を装着して電位を測定するなど、医療機器を非侵襲的に人に対して使用し、その結果を研究の目的で診断や治療方針の決定には使用せず、他の検査結果と数値の比較のみ行うなどにより当該医療機器の性能を評価する研究 当該医療機器の使用が、侵襲(軽微な侵襲を含む。)を伴う場合には、医行為に該当するため、法に規定する臨床研究に該当する。
(10)患者から血液、組織等の検体を採取し、又はCT等の画像検査を行い、その結果を独立した別の医療機器により測定・分析することにより、当該医療機器の性能を評価する研究
※ その結果を研究の目的で診断や治療方針の決定に使用する場合を含めて、当該医療機器自体を直接患者に対して使用 していないため。
画像撮影を行う医療機器と分析を行う医療機器が一体となっている場合など、実質的に評価の対象となる医療機器を患者に対して使用している場合は、法に規定する臨床研究に該当する。
(11)手術中に、タブレット端末により患者の術野を撮影・表示し、組織や病巣の詳細な位置を重ねて描画することで術者へのナビゲーションを行うプログラム医療機器について、その手術の結果により当該プログラム医療機器の有効性を評価する研究
※ 当該プログラム医療機器を直接患者に対して使用していないため
(12)未承認の診断機器を使用して、その検査値を医療機関内での診断基準や治療基準として設定するなど、検査手法の確立に係る研究 主たる目的が検査手法の確立であっても、副次的に診断機器の性能の評価を行う場合など、実質的に医療機器の有効性・安全性を明らかにしようとする研究の場合は、法に規定する臨床研究に該当する。

厚生労働省のQ&Aはこちらでご確認いただけます。