がん治療の現場から 富山大学附属病院 集学的がん診療センターの先端医療
6/66

国際協力で全DNA解読精密医療に向けた取り組みがスタート─がんゲノム医療とはどのようなものですか。がんの原因・DNA変異に迫るゲノム医療いよいよ臨床へがんの原因は、DNAの変異です。これがなければ、がんは発生しません。人体は30兆個以上の細胞からできています。その細胞一つひとつの中に核があり、それぞれの核に46本の染色体(22対の常染色体と1対の性染色体)が存在します。染色体はヒストンと呼ばれるタンパク質にDNAが巻き付いた棒状の固まりです。DNAにはアデニン(A)、チミン4  (T)、グアニン(G)、シトシン(C)という4種類の塩基がA─T、G─Cの塩基対となって並んでいます。この塩基の並び方が遺伝暗号となっており、ヒトの設計図の正体です。2003年には全塩基対の配列が解読され、総数集学的がん診療センター長がんゲノム医療推進センター長臨床腫瘍部 教授林 龍二臓器ごとに定められた標準治療のガイドラインに沿って治療を行う現在のがん医療。しかし、治療効果は人によって異なり、重篤な副作用が出る場合もある。これに対し、がんゲノム医療では、個々のがんのゲノム解析に基づき最適な治療法や薬を選択することによって、最大限の治療効果と最小限の副作用を両立する「精密医療」が可能となる。がん薬物療法専門医として長年治療に取り組んできた林龍二がんゲノム医療推進センター長に、新時代の治療についてうかがった。

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る