がん治療の現場から 富山大学附属病院 集学的がん診療センターの先端医療
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抗がん剤の副作用を抑える補助療法や分子標的薬の開発が進む─抗がん剤の副作用を抑える補助療法や、分子標的薬の開発が進み、悪性リンパ腫の治療が飛躍的に進歩しているそうですね。Survvors問題ない場合もあります。基本は抗がん剤による化学療法ですが、放射線療法が組み合わされることもあります。 悪性リンパ腫の治療は進化し、予後がよくなっています。進行の程度や体の状態にもよりますが、約半数近くの方が完治します。抗がん剤に抵抗を感じる方もおられるかもしれませんが、ここ10年ほど前から抗がん剤の副作用を抑える補助療法が進歩して、治療はずいぶん楽になりました。外来通院で抗がん剤治療を行うことも可能です。 難治性の悪性リンパ腫には、ゼヴァリンⓇ(イブリツモマブチウキセタン)を使った放射免疫療法(RI標識抗体療法)が行われています。これは薬剤部と放射線科、血液内科医が連携して薬の調整をしなければならないため、少し手間がかかります。この体制が整っていて治療ができるのは、現在は当院が県内で唯一です。さらに当院では、抗がん剤のリスクが高い方には種類や量を工夫するなど、患者さん一人ひとりに対して副作用対策を心がけ、苦痛のない抗がん剤治療を目指しています。例えば悪性リンパ腫に対してはリツキシマブという分子標的薬が代表的です。この抗体薬のおかげで長期予後が期待できるようになった一方、治療に用いられる副腎皮質ステロイドの副作用で骨粗鬆症となり、QOLが低下する患者さんも少なくありません。そのため、骨粗鬆症のリスクの高い患者さんには治療後の生活や人生を念頭に置き、骨への負担が少ないデノスマブやゾレドロン酸の新薬を投与して予防に努め、骨の健康を考えた治療を提案するよう心がけています。そうしたことを、北陸三県の血液内科i  ~リンパ腫サバイバーに骨ので「Better Bone Health for Lymphoma 健康を(仮称)」をテーマとし、臨床試験(DENOSULY試験)を行う準備を進めています。臨床データをまとめ、この研究を北陸から全国へ発信していきたいと思っています。57血液内科 診療科長 教授佐藤 勉

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