がん治療の現場から 富山大学附属病院 集学的がん診療センターの先端医療
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高齢化で悪性リンパ腫、多発性骨髄腫が増加─血液内科の診療体制と治療実績、特徴は?先進的な臨床と研究で“ワンランク上”の血液内科を目指す血液内科は血液専門医4名(うち指導医2名)が常勤し、リンパ腫、貧血、骨髄腫、造血幹細胞移植の各専門外来に分かれて、大学病院ならではの高水準の医療を行っています。あらゆる新薬をいち早く導入し、日進月歩の血液内科治療の先端を提供しています。 貧血、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、血小板減少症などすべての血液疾患を対象としますが、2018年に新規診断された血液・造血器腫瘍の患者は111例と全体の大半を占め、そのうち悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫76件、ホジキンリンパ腫1件)が約7割と圧倒的に多いです。化学療法のための入院(のべ入院数・再発入院や重複例含む)も、非ホジキンリンパ腫が153件と最も多く、次いで多発性骨髄腫が18件となっています。悪性リンパ腫と多発性骨髄腫は高齢者の発症頻度が高いため、高齢化に伴い近年増加しています。 当科の特徴としては、造血幹細胞移植があります。当院は日本骨髄バンクの移植認定病院として1995年の開始以来、移植医療に力を注いできました。幹細胞のソース(源)は、自家/同種、血縁/非血縁、骨髄/末梢血/臍帯血などすべてに対応し、高水準の移植治療が行われています。悪性リンパ腫は全身に初期病変が見  れる組織検査が行われます。これにられ、首にしこりがある、扁桃腺が腫れる、原因不明の熱が続くなど、発生した場所によってさまざまな症状を引き起こします。血液検査の異常値やリンパ節腫脹などの症状から悪性リンパ腫が疑われたら、リンパ節生検と呼ばよって悪性リンパ腫と診断されたら、次は骨髄検査などで病気の広がり(病期)を決めます。リンパ節生検で判明した悪性リンパ腫のタイプや病気の広がりをもとにして治療の方針が決まります。抗がん剤治療がただちに必要な場合もあれば、しばらくは経過観察で2018年に第三内科の診療部門から独立した血液内科は、大学病院だからこそできる“ワンランク上”の血液内科を目指し、先進的な臨床と研究、後進の育成に積極的に取り組んでいる。血液内科の特徴的な取り組みや、日進月歩の分子標的治療薬を使った新たな治療法、現在取り組む研究について、診療科長である佐藤勉教授にうかがった。─全国的に見ても非常に多い悪性リンパ腫についてお聞かせください。56

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