がん治療の現場から 富山大学附属病院 集学的がん診療センターの先端医療
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IMRT専用機「トモセラピー」導入がん形状に合わせた照射が可能に─実際にどのような機器を使って、治療を行っているのでしょうか?得意分野ではないので、転移性のものに対して放射線治療を行っています。2018年度の放射線治療症例数は500件弱。どの疾患が飛び抜けて治療数が多いということはありませんが、比較的多いのは乳がん(乳房温存療法の術後放射線治療)、頭頸部がん、前立腺がん、肺がんです。膵臓がんは頻度としてはそれほど多くはありませんが、全国から患者さんが膵臓・胆道センターに集まってくる関係で、他施設よりは多いのが当院の特色です。転移性疾患に対する症状緩和・改善のための治療もかなり件数があります。放射線治療科は現在、放射線治療専   門医3名、看護師3名、放射線技師・医学物理士8名が担当しています。放射線治療単独で行うだけでなく、集学的治療として、手術前後の補助療法で行う場合があり、化学療法の同時併用も一部疾患では積極的に行っています。その場合、放射線治療がどんな治療に適応できるか、どのような方法で進めていくか、キャンサーボード(合同カンファレンス)で各診療科と密接に連携を図ることが非常に重要です。 また、先進医療である陽子線や重粒子線治療に関しては、県内に治療できる施設はありませんが、当院の治療医2名が粒子線治療施設での勤務経験があることから、適応疾患に関してはセカンドオピニオンとして紹介するなど、福井や長野、群馬などの他病院とも連携を図っています。 まず放射線をどのように照射するかは、放射線治療計画装置(専用コンピュータ)を使って綿密に計画します。治療には外部照射と内部照射があります。外部照射では、直線加速器(リニアック)による一般的な放射線治療のほか、高精度放射線治療である定位的放射線治療とIMRT(強度変調放射線治療)を2009年から開始し、治療効果を上げています。さらに、2018年にはIMRTの専用機である「トモセラピー」が導入されました。内部照射には、小線源治療があります。現在、県内でIMRTが保険診療で国から許可されているのは当院と富山県立中央病院の2施設だけです。定位的放射線治療は、立体的に多方向から細いX線ビームを集光させる照射法です。主に早期肺がんや肝臓がん、─診療体制は?トモセラピー(左)、リニアック(右上)、治療計画CTおよびX線透視装置(右下)53

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