がん治療の現場から 富山大学附属病院 集学的がん診療センターの先端医療
43/66

しい苦痛に関しても、身体担当が相談の窓口になることもあります。もちろん、このような苦痛は身体担当医師だけですべてを解決できるわけではないので、各専門家と連携して解決方法を探っていきます。精神担当は、不眠、病気そのものへの不安、心の痛み、いらだち、うつ状態などのケアを行います。こちらも、チームでの対応が基本です。と、「チーム医療におけるコーディネー深井●看護師の役割を一言で表現するター」です。医療職の中では、入院患者さんと最も長く接するため、患者さんの理解者になりうる立場であると考えています。患者さんがどんな苦痛を感じ、何を望んでいるのかを、コミュニケーションを図る中でくみ取り、医師や薬剤師への橋渡し役を担います。や、薬にまつわる相談・説明などを行います。さまざまな薬を扱う緩和ケア部門では、がん専門、あるいは緩和ケアの認定薬剤師が処方の提案を行っ梶浦●薬剤師は、すべての薬の管理深井●理学療法士は、リハビリを担当梶浦●ソーシャルワーカーは、医療費、ています。 身体的苦痛と精神的苦痛、いずれの治療にも、薬を使用することがあります。特に緩和ケアの領域では、複数の臓器に問題があるなど、患者さんの状態がよくないケースも多々あります。そういった際や、複数の薬を同時に使わないといけない場合などは、薬剤師の提案がひときわ重要になります。します。一般的なリハビリといえば、機能の回復・維持といったイメージがあると思いますが、緩和ケアにおいては、これらと異なるリハビリにも取り組みます。例えば、足に痛みが出ている方に対し、負担の少ない歩き方をアドバイスするといったものです。薬やマッサージなどによる対応を含め、患者さんに合った方法を検討します。仕事、生活のことなど、患者さんのさまざまな悩みや心配ごとに対して支援を行います。 緩和ケア部門では、入院している患者さんが在宅医療へ移行できるようにすることを、一つの大きな目標としています。患者さんご自身や、ご家族、主治医、病棟スタッフが「退院は難しい」と考えている場合でも、実際には外来での治療が可能なケースも多々あります。そうした場合に在宅医療を提案するにあたっては、ソーシャルワーカーの存在が要となります。また、病状が進んだ患者さんが、自宅で最期を迎えられるよう、在宅で症状の緩和ケアができる環境を整える際にも、重要な役割を担います。このほか、栄養士などとも連携し、  患者さんの痛み・つらさ・悩みなどの緩和に、総合的に取り組んでいます。41

元のページ  ../index.html#43

このブックを見る