がん治療の現場から 富山大学附属病院 集学的がん診療センターの先端医療
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今後の課題がん患者・がん診療への向き合い方明してくださったことを踏まえて、外来化学療法部門の今後の課題をうかがいたいと思います。来治療の増加によって、化学療法も外来で行うケースが増えています。外来化学療法部門には専門知識のある医療スタッフが集約されていますので、入院での化学療法と同等、あるいはそれ以上に安全性の高い治療ができると考えています。もちろん、そのためには、個々のスタッフが専門性を維持・向上させていくことが重要です。抗がん剤の種類は今後も増えていくと思われますので、それらに対応できる知識を習得し続けていかなければなりません。土地●そうですね。では、皆さんが説安藤●先ほども申し上げたように、外がん剤治療の範囲内で、薬や看護について深く学んでいくので、専門性を高めやすいという利点はあるかもしれませんね。私が感じるのは、患者さんのご自宅でのセルフケアの問題です。以前に外部の訪問看護師の方から、トラブルがあった場合の対応方法や連絡先が共有されていなくて困った、という意見を聞いたことがあります。病院と地域が連携していくことは、今後の大きな課題だと思います。ば、患者さんのご自宅での看護も増えますからね。実際の訪問看護に即した情報の共有は必要ですね。対応を確認しておくように患者・家族にお願いしていますが、この辺りのルーチンをもっと明確にした方がよいのではと思います。れるのはご自宅に帰られてからが多いです。その場合の対応方法を、ご本人や周囲の方にきちんとお伝えしておくのは大切ですね。薬についても、院外薬局の薬剤師の方がお渡しすることが多いので、我々と薬局との連携が重要竹本●化学療法部門のスタッフは、抗土地●外来での抗がん剤治療が増えれ竹本●あらかじめ医師と緊急連絡先や高橋●患者さんがお薬の副作用に悩まになります。薬の飲み方のアドバイスなどを含め、地域全体でサポートできるよう取り組みを進めているところです。キーワードになりますね。近年注目されているゲノム医療についてはいかがでしょう。は、遺伝子を調べ、その異常に応じて治療を行うもので、患者さんの体質や病状により適した治療ができます。ですが、現在はまだ薬剤の臨床試験が進んでおらず、使用できる薬剤が少ない状況です。患者さんに対しては、こうした点をきちんとお伝えし、理解していただくのが重要です。同時に、我々自身も正しい知識を身につけ、薬剤開発や臨床研究に取り組んでいく必要があります。と、看護師を含めた勉強会が行われます。患者さんから質問を受けることもあるので、看護師としても、日ごろから情報への感度を高くしておかなければいけないと感じています。ては、例えば従来は乳がんで使用していた薬剤を、胃がんや膵がんで使用す土地●やはり「地域」が一つの大きな安藤●これも重要ですね。ゲノム医療土地●新しい治療法が取り入れられる安藤●そうですね。ゲノム医療においるような状況も考えられます。ほかの科と連携して勉強を続けていかないと、こうした状況に対応するのは難しいと思います。がん患者さんやがん治療に対し、どのように向き合っておられるかを教えてください。土地●ありがとうございます。次は、38 

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