がん治療の現場から 富山大学附属病院 集学的がん診療センターの先端医療
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土地●確かに、私がナースになった30もう一つは、薬の投与の問題です。外来への移行が進むなか、化学療法の投与を部門ごとに行うのは非効率的です。結果として、患者さんに負担を強いることにもなりかねません。1部門に集約し、専門の医療スタッフが投与を行うのが、最善の体制だと考えています。年ほど前は、抗がん剤の投与はすべて病棟で行われていましたね。そのころに比べ、さまざまな部分で多様化、細分化していると思います。その分、繊細な対応が求められるということでもあるので、専門知識のあるスタッフが適切に管理することは重要ですね。では竹本さん、看護師の立場としてはいかがでしょう。竹本●外来治療への移行が進んでいる土地●患者さんやご家族には自宅療養高橋●大きく分けて3つあります。一現在、患者さんの生活と療養を支える存在として、外来化学療法部門を含む外来全体の重要性が高まっているのを感じます。そのうえで、患者さんに対して常に同じスタッフが関わるというのが、大きな特徴ではと思います。例えば、点滴のたびに患者さんから普段の様子をうかがうなど、病状とともに生活状況の変化にも気を配ることができます。外来化学療法部門はそういった意味でも、外来の患者さんにとって大切な場所ではないでしょうか。だからこその不安というのが、きっとありますよね。その意味で、病棟での看護に近い形で患者さんの気持ちに寄り添えるのは、とてもよい点ですね。ありがとうございました。 では高橋さん、この部門での薬剤師の役割を教えてください。つ目は治療薬の量とスケジュールの確認です。化学療法で使用する点滴用の薬は、患者さんの身長や体重をもとに量を調整します。治療の過程で体重などに変化があった場合は、再調整を行います。また、点滴のスケジュールが守られているかを確認したり、点滴当日の検査結果から、治療を安全に行えるかを判断したりするのも、薬剤師の役割です。二つ目はお薬の調整です。お薬は患者さんごとに内容が異なるので医師の指示に従い正確に調整しなければなりません。当院では2名の薬剤師が確認しながら調整しています。三つ目は治療による副作用の確認と    飲み薬のチェックです。看護師と同様、点滴の時間を利用して、副作用がないかを確認しています。副作用で困ることがあるときは医師や看護師と相談し、症状を抑えるお薬を追加することもあります。察時、医師は患者さんと1対1でお話されますが外来化学療法室でも看護師や薬剤師がベッドサイドでお話を聞いていますね。そして、医師・薬剤師・看護師間で連絡を取り合うことも多いように思います。患者さんの情報を共有し、連携して治療を行っていますね。ね。医師として、できる限り患者さんに目を配るようにしていますが、人数が多いため、時間はどうしても限られます。そこを外来化学療法室が補い、追加薬剤の提案などをもらえるのは、とてもありがたいですね。土地●ありがとうございます。外来診安藤●連携は他部門以上に重要です37薬剤師高橋 則正看護師竹本 朋代

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