がん治療の現場から 富山大学附属病院 集学的がん診療センターの先端医療
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気軽に立ち寄れる「よろず相談所」に─がん相談支援センターはどのような役割を担っているのですか? 当事者同士で交流ミニ講座や職業相談も─2011年に設置された「ほほえみサロン」ではどのようなことを行っているのですか?悩みに寄り添うがん相談支援センター「気軽に相談」することから解決の糸口を林●富山大学附属病院には、がん患者さんや家族などへの相談支援や情報提供を行うため、2006年から「がん治療相談支援センター」がありました。2010年に地域がん診療連携拠点病院の指定を受けてがん相談・地域連携部門ができ、今の「がん相談支援センター」として生まれかわりました。がんにかかることで、患者さんは病気だけでなく、今後の生活や仕事、家族のことなどで大きな不安を抱えます。そこで、専門知識を持った看護師や医療ソーシャルワーカー、がん相談員がじっくりとお話を聞き、適切な情報を提供することで、少しでも相談者の悩みや不安が軽減できるようにお手伝いしています。中本●当院の患者さんに限らず、他の医療機関を受診している患者さんや、地域の医療機関などから寄せられる相談にも応じています。患者さん自身が納得した医療を受けられるよう、他の医師に診断や治療などの意見を聞く「セカンドオピニオン」に関する相談も受け付けています。林●まずは「話してみる」ことが解決の糸口につながります。悩みや不安を打ち明けるだけで、気分が楽になることもあります。もちろん雑談でも構いません。センターの入り口にはアザラシ型セラピーロボット(パロ)の「くぅ」を置いているのですが、このくぅちゃんに会いたいと遊びに来てくれる患者さんもいます。皆さんが気軽に立ち寄れる「よろず相談所」でありたいと思っています。林●患者さん同士の情報交流、憩いの場として、2011年、がん相談支援センター内に開設されました。当事者同士で悩みを語り合い、交流を持つことで心の負担を軽減し、QOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)の向上につながるよう、定期的に「茶話会」や「ミニ講座」などを開催しています。ン」では、がんを体験した「ピアサポーター」が交流会に来られます。ピアサポーターは、がん体験者やその家族で、がんの正しい知識と対話スキルを身につけ、ピア(仲間)としてほかのがん患者さんや家族を支える活動をしている中本●年3回開催している「交流サロ32がん患者や家族は、多くの悩みや不安を抱えている。そんな当事者たちの心のよりどころとなっているのが看護師や医療ソーシャルワーカーなどの専門家が、患者や家族を温かく支える4名のスタッフに、「がん相談支援センター」だ。相談に応じて適切な情報を提供。当事者同士の交流も図っている。センターの取り組みをうかがった。

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