がん治療の現場から 富山大学附属病院 集学的がん診療センターの先端医療
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カスタムメイドの人工骨幹で、新たな手術法を開発─整形外科腫瘍班独自の取り組みを教えてください。 また、腫瘍切除後の軟部組織の再建、胸壁部の骨腫瘍切除後の再建などは、以前は基本的に各外科班に任せていましたが、現在はこれらの多くに腫瘍班で対応することが可能となっています。これは各医療スタッフの技術の習熟によるものと考えています。今後はさらなる技術の向上に努め、対応可能な処置を増やしていく方針です。2017年に、新たな手術法を開発しました。3Dプリンターによって生成したカスタムメイドの人工骨幹による再建手術です。 腫瘍班では、骨軟部組織に発生する肉腫のほか、他のがんから転移した転移性骨腫瘍や転移性軟部腫瘍も扱うことがあります。がんの種類によりますが、13%~75%程度の確率で、骨への転移がみられます。 近年は、がん患者数の増加に比例して、こうした転移性の腫瘍も増加傾向にあります。一方で、骨腫瘍には強い痛みや機能障害が伴うことも多く、患者さんの日常生活への影響カスタムメイド人工骨幹。骨腫瘍切除後を補填し、正常骨との固定の方法を患者に合わせてデザインする左:上腕骨腫瘍の位置と大きさで切除された部位を補填する。その後、残存した正常上腕骨と固定する。近位(肩関節に近い部分)はプレート型(板状)とし、近位上腕骨と固定する右:近位(肩関節に近い部分)は髄内釘型(棒状)としている29 整形外科 診療准教授安田 剛敏

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