がん治療の現場から 富山大学附属病院 集学的がん診療センターの先端医療
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がん克服にやりがい希望と安心を与えたい─長田診療教授が乳腺科・内分泌外科を志した理由は?放射線治療を行う機器「SAVI(サヴィ)」を北陸で初めて導入します。乳房温存手術では、乳房の部分切除後に再発を防止するための放射線治療を行います。従来はこの治療が5週間にわたり、通院が難しい患者さんは長期入院する必要がありました。SAVIを使用すると、治療期間は5日間に短縮され、負担が大幅に軽減されます。また2020年1月からは、乳房再建手術で多くの症例を手がける横浜市立大学附属市民総合医療センター形成外科の佐武利彦氏が特命教授として着任されます。乳房再建はこれまで金沢医科大学と共同で手術を実施していましたが、着任後は院内で手術を行うことができるようになります。学生時代に興味があったのは、放射線や漢方医学でした。しかし、そこで外科を志したのは、第二外科初代教授の藤巻雅夫先生との出会いがきっかけです。スキーの達人だった藤巻先生に「スキー道具一式をやるから外科に入れ」と誘われ、ご縁を感じて外科に進みました。スキーも生涯の趣味となり、準指導員の資格を持っています。入局後は、肝臓外科医としてましたが、先代の塚田一博教授から乳腺科・内分泌外科の担当をすすめられて引き受けました。導かれて進んだ道でしたが、さまざまな治療が効果を発揮し、がんを克服できる分野に大変やりがいを感じています。 外来では「すべての患者さんに、希望をもって部屋から出ていってもらいたい」と思い、患者さんと誠心誠意向き合うことを心がけています。もちろん、転移があったり、治療の効果が出なかったりとつらいニュースを伝えなければいけないこともあります。それでも、次にできることを提示して、安心と希望を与えてあげたい。そのためには、患者さんにその時点で最適な治療法を提供できるようにしていかなければいけないと肝に銘じ、日々研究と勉強を重ねています。乳がんは「治る病気」です。乳がんの治療は「生きたもん勝ち」   て、一緒に頑張っていきましょう。です。日々新しい治療や新しい薬が開発されているので、今日は治らなくても、明日は治る方法が見つかっているかもしれません。とにかく希望をもっ─がんに苦しむ患者さんに対し、どのような信念をもって治療に臨んでおられますか?─治療中、もしくは受診を考えている患者さんへメッセージをお願いします。profile2710年以上のキャリアを積み長田 拓哉(ながた・たくや)富山大学大学院医学薬学研究部消化器・腫瘍・総合外科 診療教授【専門分野】乳腺科・内分泌外科【略歴】1991年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部医学科卒業1998年 富山医科薬科大学大学院医学研究科修了1998年 富山医科薬科大学医学部 助手2005年 富山大学 講師2019年 富山大学乳腺科・内分泌外科 科長【認定資格・所属学会】日本外科学会専門医・指導医、日本消化器外科学会専門医・指導医、日本乳癌学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本静脈経腸栄養学会専門医、日本家族性腫瘍学会専門医

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