がん治療の現場から 富山大学附属病院 集学的がん診療センターの先端医療
14/66

肝胆膵、食道手術件数は北陸トップクラス─第二外科、消化器外科の診療体制、治療実績は?国内初の膵臓・胆道センター開設“諦めない”診断・治療で患者さんに光を 第二外科は肝胆膵外科、消化管外科を中心に、乳腺・甲状腺外科、小児外科を包括する幅広い診療を行っています。消化器外科は、肝・門脈、胆・膵、食道・胃、大腸・肛門外科の4グループで対応しています。 すべての診療において、医師、看護師、薬剤師、パラメディカルによるチーム医療に取り組んでいます。診療科全体、場合によっては科の垣根を越えてミーティングやカンファレンスを行い、患者さん一人ひとりに対して治療方針を検討・決定し、よりよい治療を行うことを徹底しています。 主な対象疾患は食道がん、胃がん、大腸がん、膵臓がん、肝がん、胆道がんなど悪性腫瘍を中心に、良性疾患も含めて外科手術が必要なすべての消化器疾患に対応しています。中でも肝胆膵手術は年間110例(うち膵切除60例)、食道手術は年間約30例で、北陸でもトップクラスの実績を上げています。胃がんや大腸がんでは腹腔鏡下手術、手術支援ロボットを使った低侵襲な手術に力を入れています。膵臓がんは、周囲へのがんの広がりの程度や転移の有無により、「切除可能」「切除可能境界」「切除不能」に分かれます。「切除可能」な場合は、まず手術を行い術後に補助化学療法(再発予防の抗がん剤治療)をするのが標準とされていましたが、近年の研究の結果、「切除可能」であっても手術の前に抗がん剤治療を行った方が良い、という結果が出ましたので、その知見をすぐに取り入れています。「切除可能境2018年9月、国内初となる膵臓・胆道センターが富山大学附属病院内に開設された。診療科の垣根を越えた緊密な連携で難治がんに向き合い、全国的にも数少ない専門家を内科・外科で共に揃えるセンターには、治療の光を求めて全国から患者が次々と訪れる。膵臓・胆道センターと第二外科を束ねる藤井努教授に、新たな治療法やがん患者への思い、生存率向上への決意をうかがった。─藤井教授の専門である膵臓がんの治療法は?12 

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る