最新の遺伝医学情報など幅広い知識とスキルが必要─福田先生が遺伝カウンセラーになられたきっかけは?く、ご家族の対応についても一緒に考えていきます。遺伝子検査を行った患者さんやご家族に対しては、結果の解釈や今後について話し合ったりします。希望があれば、いつでも遺伝カウンセリングを受けていただけるよう、診療科と連携しながら継続的なサポートを行っていきます。米国の大学で心理学を学んだ後、どの道に進もうかと考えたときに「カウンセリングを通して人と関わりたい」という思いがありました。私は幼少期から病院に通院していたこともあり、病院に関わることができる仕事はないかと調べる中で偶然、遺伝カウンセラーを知りました。遺伝カウンセリングは、医学的に正確な情報を相談者に提供し、相談者がそれをもとにどう考え、意思決定をしていくか、対話による支援のプロセスが素晴らしいと思います。そういった知識とスキルを持ちたいと思いました。そこで北里大学の大学院の遺伝カウ ンセラー養成コースで2年間学び、遺伝医学・遺伝カウンセリングの知識やコミュニケーションスキルを身につけました。2013年12月の認定試験で合格し、認定遺伝カウンセラーの資格を取りました。その後、博士課程に進みながら北里大学の病院や他施設で認定遺伝カウンセラーとして働き始め、今年で6年目になります。認定遺伝カウンセラーは医師ではありませんが、遺伝子検査結果の解釈など遺伝に関する知識や治療法、新しい治療薬や臨床試験など、遺伝性疾患に関する最新の医療情報を多方面に渡って常に勉強しておく必要があります。大変ですがやりがいがあります。 日本では「遺伝」についてタブー視するところがまだまだあると思います。 「遺伝リテラシー」という言葉があります。遺伝に関する知識をもち、遺伝医療について自己決定できる能力という意味です。遺伝は、親から子へ受け継がれるという「継承」と一人ひとりの違いである「多様性」を持ちます。日本では「多様性」より「継承」のイメージが強いかもしれません。全ての人は例外なく、数十の遺伝性の病気の要因をもっています。人はみな違うということです。それは特別なことではないし、誰のせいでもありません。そういったことも小さい頃から理解していれば、日本においても遺伝へのイメージが少し違ってくるのではないかと思います。そのためにも、まずは「遺伝カウンセリング」「認定遺伝カウンセラー」について、富山大学附属病院の患者さんや県内外の多くの方に知ってもらい、必要の際には安心して遺伝カウンセリングを受けていただきたいと思っています。─今後は遺伝カウンセリングをどのように広めたいですか?理学部卒業2013年 北里大学大学院医療系研究科医科学専攻修士課程修了(遺伝カウンセリング養成課程)2013年 北里大学病院遺伝診療部 非常勤2017年 北里大学メディカルセンター 非常勤/認定遺伝カウンセラー2018年 北里大学大学院医療系研究科医学専攻博士課程修了2018年 京都府立医科大学附属病院遺伝子診療部 非常勤/認定遺伝カウンセラー京都第一赤十字病院遺伝カウンセリング室 非常勤/認定遺伝カウンセラー2019年 富山大学附属病院遺伝子診療部 特命助教/認定遺伝カウンセラー【認定資格・所属学会】日本遺伝カウンセリング学会・日本人類遺伝学会共同認定 遺伝カウンセラーprofile11福田 令(ふくだ・れい)富山大学附属病院 遺伝子診療部 認定遺伝カウンセラー【専門分野】遺伝カウンセリング【略歴】2009年 米国カリフォルニア州立大学ノースリッジ校心
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