がん治療の現場から 富山大学附属病院 集学的がん診療センターの先端医療
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問題に不安や悩みを持つ方を対象としています。例えばご家族の中に乳がんの方が何人もいて、「遺伝性のがんが心配」と個人の方が遺伝カウンセリングを希望されることもあります。遺伝カウンセリングでは、必要であ9  不安を解消できるよう努めます。れば、ご本人が納得したうえで、遺伝子検査・診断を行い、その結果を踏まえて今後の健康管理やご家族への対応について相談します。一方的な情報提供ではなく、相談者さんと遺伝子診療部スタッフの双方向のコミュニケーションを大切にした遺伝カウンセリングを行っています。時間をかけ、リラックスした雰囲気で遺伝に関する心配や 認定遺伝カウンセラーは、遺伝カウンセラー養成課程を設置した大学院を修了し、認定試験に合格した人が資格を保有できる専門職です。全国に243名(2018年12月現在)おり、北陸では私一人です。遺伝カウンセリングを専門とする職種は、臨床遺伝専門医と、認定遺伝カウンセラーがあり、いずれも日本遺伝カウンセリング学会と日本人類遺伝学会が共同で認定しています。 臨床遺伝専門医は、各診療科の医師が専門性を活かしながら医学的観点から遺伝や遺伝に関わる病気について説明し、どのような解決法があるのか情報提供を行います。一方、認定遺伝カウンセラーの役割は、相談に来られたご本人に寄り添い、抱えている思いや心配事などに耳を傾けます。相手に寄り添い傾聴することが最も重要なことだと思っています。 病院や地域によって、遺伝子検査の種類と遺伝カウンセリングの傾向が異なりますが、当院では無侵襲的出生前遺伝学的検査(新型出生前診断・NIPT)ができる県内唯一の認定施設ということもあり、周産期医療に関わるニーズが高いです。産科婦人科の専門医(臨床遺伝専門医)と認定遺伝カウンセラーが連携して対応しています。次いで多いのが、遺伝性腫瘍(遺伝性のがん)に関するものです。当院では2015年に集学的がん診療センター内に「がん遺伝相談部門」が開設されています。臨床遺伝専門医と各診療科の医師が、遺伝性腫瘍である「家族性乳がん・卵巣がん症候群」(HBOC)や「遺伝性大腸がん」(リンチ症候群)に関する対応を行ってきていま─認定遺伝カウンセラーとはどのような職種でしょうか。遺伝性腫瘍や、動き始めたがんゲノム医療への対応─富山大学附属病院ではどのような遺伝カウンセリングが多いですか。

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