緩和ケアマニュアル
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 4.経皮的椎体形成術(骨セメント療法) 悪性腫瘍や骨粗鬆症による脊椎骨の圧迫骨折に対する疼痛緩和療法のひとつである.2012年4月に保険適応となった.○本治療法により期待される効果 およそ70%の患者に対して除痛が期待できるとされる.比較的迅速に(数時間から数日以内に)除痛が得られることが利点とされる.○適応と禁忌 悪性腫瘍の椎体への転移や骨粗鬆症による圧迫骨折が原因で強い疼痛をきたしている症例で,鎮痛剤やコルセット着用など保存的加療が奏功せず,後方成分の損傷を伴わない比較的安定した骨折で,神経症状を伴わないものが適応とされることが多い. 禁忌となるのは急性期の重篤な感染症(化膿性脊椎炎や穿刺部の蜂窩織炎),出血傾向,重篤な心疾患など.○合併症 合併症のリスクは数%程度とされる.穿刺に関連した出血や感染.椎体周囲静脈を介するセメントや脂肪滴の漏出による肺塞栓.脊柱管内へのセメント漏出による脊髄障害.骨セメント製剤(PMMA)の心毒性など.87

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