緩和ケアマニュアル
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 ⑶ 腫瘍出血放射線治療の目的と意義 増大した腫瘍からの静脈性の出血を止める目的で照射が施行され,止血効果が期待できる.ある.37.5Gy/15回/3週間,40Gy/20回/4週間なども用いられる.○緊急性が高い場合,1回4Gy以上の線量も検討される.(20Gy/5回/1週間など)○総線量が高く,分割回数の多い方が生存率は優れるとされる.根治照射の適応がある場合は,通常分割とする.線量成績 症状改善率は,非小細胞肺癌で80%,小細胞肺癌で90%,悪性リンパ腫で95%とされている.<上大静脈症候群に対するステント治療> 2019年10月より上大静脈症候群に対する血管内ステント留置が保険適応となった.症状改善率は71.4%,効果発現までの中央値は1日(平均3.42日)と即効性では化学療法や外照射よりも期待できる.ステントは抜去できないため,根治的加療が適応とならない症例がよい適応である.相対的禁忌として出血傾向,狭窄抹消側の血栓が挙げられる.また重篤な合併症として頻度は低いものの心タンポナーデや肺動脈血栓塞栓症,ステントの心腔内逸脱などが挙げられる.腫瘍抑制効果はないため,効果の継続には化学療法や外照射の併用が検討される.85

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