緩和ケアマニュアル
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 ⑵ 上大静脈症候群放射線治療の目的と意義 急速な呼吸困難,顔面・上肢の浮腫を改善することが目的である.肺癌など限局した病変の場合,根治照射の適応も考えられる.線量処方○症状緩和目的では,30Gy/10回/2週間程度が一般的でいられる.照射後は漸減する方法がとられることも多く,また長期間の使用は推奨されない.○通常は,30Gy/10回/2週間     20Gy/5回/1週間○全身状態が悪い場合 8Gy/1回 単回照射でも同等の運動機能,膀胱機能を保つことが示されており,予後不良例等ではよい選択肢となる.○長期予後が期待できる場合 37.5Gy/15回/3週間              40Gy/20回/4週間 高線量の方がより高い局所制御が得られるとの報告があり,長期予後が期待できる例では考慮する.○通常照射後の脊髄圧迫の再燃に対しては24Gy/3回や30Gy/5回の定位照射も検討対象となる.2020年4月より脊椎転移に対する定位照射が保険適応となった.治療効果 歩行可能となる率は,2~6割,歩行可能で照射開始した場合では8割とされている.再照射の場合でも3~5割と報告されている.84

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