緩和ケアマニュアル
95/172

 3.放射線治療の緊急疾患 ⑴ 脊髄圧迫症候群放射線治療の目的と意義 麻痺が不可逆となれば患者のQOLは著しく低下する.放射線治療の目的は,麻痺などの神経症状を改善し,生活の質を改善することである. 脊髄圧迫症候群では,麻痺の出現からできる限り早く照射開始する.発症より時間が経過すればするほど麻痺の解除率は急速に低下する.できれば2日以内に照射開始する.(2日以上経過した患者でも照射の適応はある.)適応 麻痺の完成がない限り,放射線治療の適応はあるが,麻痺の進行が早く,不可逆となるリスクが高く,患者の全身状態が許せば,椎弓切除術などの除圧術も検討すべきである.線量処方 禁忌でなければ最初からステロイドを併用する.診断がついた時点で急速静注し,以後維持量を投与する.また12~16㎎程度のデキサメタゾン継続投与も推奨され,よく用 以下の疾患が放射線治療における緊急疾患の代表であり,原則として当日に計画,当日に照射開始の緊急対応となる.そのほか脈絡膜転移による視力障害,神経芽腫肝転移による呼吸困難にも早期の治療開始が検討されることがある.83

元のページ  ../index.html#95

このブックを見る