緩和ケアマニュアル
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 全脳照射は30Gy/10回/2週間が標準的であるが,長期予後が期待される場合は37.5Gy/15回/3週間や40Gy/20回/4週間程度も用いられる.定位照射では20Gy/1回から30Gy/3回/3日間,35Gy/5回/5日間,42Gy/10回/2週間程度までが用いられる. 全脳照射では,晩期障害(半年以降)としての高次機能障害が問題となってくる.一方,定位照射では,頭蓋内再発率の高さが問題である.しかし臨床試験の結果も相反する結果のものがあり,現時点では,結論は出ていない.また近年では海馬を保護した全脳照射も試みられている.○単発性脳転移,予後良好群で3㎝以下,3~4個程度までの病変に対しては,定位照射単独あるいは定位照射と全脳照射の併用が検討される.小細胞肺癌など原発組織も全脳照射併用の検討因子である.○4個以上10個以内,1㎝以上6㎝以内は定位照射後,全脳照射の併用が望ましいとされることもある.○5個以上の転移の場合は全脳照射の適応とみなされてきたが,10個程度までであれば(あるいはそれ以上でも)定位照射が行われることもある.○照射後の再発時にも定位照射が選択肢となりうる.○癌性髄膜炎の場合,全脳照射の適応とされる.82

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