緩和ケアマニュアル
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 2.脳転移放射線治療の目的と意義 脳神経症状や頭蓋内内圧亢進症状を改善し,患者の生活の質を保つあるいは改善する.さらに,脳転移が死因とならないようにすることである.治療成績予後良好群:年齢65歳未満かつKPS≧70かつ頭蓋外活動      性病変がない症例,中間生存期間は7.1ヶ月中間群:良好群,不良群以外の症例    中間生存期間は4.2ヶ月予後不良群:全身状態不良例,中間生存期間は2.3ヶ月 予後に違いがあるが,いずれの群にも症状緩和を目的とする放射線治療の適応がある.全脳照射と定位照射 照射法としては脳全体に照射する全脳照射と,病巣の実に絞ってより高い線量を照射する定位照射がある.(単回照射の場合,定位手術的照射と呼ばれる.)定位照射はガンマナイフ,サイバーナイフといった専用機のほか,通常のリニアックでも行われる.いものの,意義はあると考えられている.(大腿骨転移に中央値30Gyの外照射を施行し,切迫骨折の81%が手術を回避したという遡及的な報告はある.) 線量については30Gy/10回/2週間~50Gy/25回/5週間程度まで幅広く用いられる.81

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