緩和ケアマニュアル
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 1.骨転移放射線治療の目的と意義 有痛性の骨転移に対しての疼痛緩和,転移病巣による神経症状の解除,病的骨折の予防などの効果が期待される.適応 患者の全身状態により様々な線量処方があるが,放射線治療開始後3~4週間程度で緩和効果が出現し,その後5~6か月程度は効果が持続する.したがって1カ月以上の予後が期待でき,かつ患者自身が治療を望む場合は,全例に適応がある.治療成績 疼痛緩和は原発腫瘍の放射線感受性に関係なく,比較的少ない線量で,比較的短期間に,6~7割程度の患者で得られる.79Ⅲ.がんに対する緩和的放射線治療 はじめに 技術革新により放射線治療も進歩を遂げ,根治的放射線治療では以前よりも治療成績の向上や有害事象の軽減が為されているが,姑息的あるいは緩和的(対症的)放射線治療も依然として重要な放射線治療の分野である.放射線治療における姑息的治療とは「局所制御により生活の質を保ち,予後の延長を目的とする」治療を意味する.これらの根治的ではない治療でも高精度化や短期化が図られている.

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