緩和ケアマニュアル
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評価 努力肺活量(FVC),最大強制吸気量(MIC),咳嗽時最大呼気流量(CPF) NPPVや機械的咳介助(MAC)を行っても呼吸不全が改善しない(SpO2<95%,%VC<40%)場合はTPPVを開始するが,事前に患者と家族への充分な説明と同意を得る. 充分な説明がないままTPPVを緊急的に導入することは避ける. TPPVを拒否している患者の呼吸困難には,オピオイドを使用する選択肢がある(後述). 多系統萎縮症(MSA)では声帯外転障害による突然死が生じうる.閉塞性の睡眠時無呼吸症候群と異なり,持続的陽圧呼吸(CPAP)は無効であるため気管切開のみが症状をコントロールできる. MSAでは中枢性無呼吸による突然死のリスクもある.3)嚥下困難への胃瘻(PEG) 神経難病で嚥下障害を併発した場合,経鼻胃管やPEGを行う事で延命を図ることができる. 肺炎のリスクが下がらない. 経管栄養を導入すると離脱することが困難であるため,導入には慎重な説明と同意が必要である. ALSの発症早期は栄養の需要が増加するため,嚥下障害が顕在してなくてもPEGで栄養を充分に補助することで,呼吸不全の進行を抑えることができる.129

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