緩和ケアマニュアル
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 2.神経難病 ⑵ 各論 1)レスパイト入院 レスパイト入院とは,介護する者(家族)を休ませるための入院のことである.レスパイトケアとして,デイサービス,ショートステイ,ホームヘルプがある.・富山県におけるレスパイト入院の相談窓口は当院の難病支援室である.127⑴ はじめに 1967年に英国St.Christopher’sHospiceが開設され,近代ホスピスが始まった当初から「がん」以外の全ての疾患が含まれており,神経難病が10%ほど含まれていた.現在も緩和ケアは「がん」を対象とすることが多いが,緩和ケアの方法論は神経難病の治療のそれと同一である. ALSをはじめとした神経難病は,進行性であり根治療法のない予後不良な疾患である.病期に応じてさまざまな苦痛症状を呈し,数年で死に至ることから,診断された時から緩和ケアを必要とする非がん疾患の代表的なものである.一方,がんと異なり,呼吸不全が進行した際に人工呼吸器を導入する事で生存期間の延長が得ることができる. 神経難病に緩和ケアを取り入れることは,患者の全人的苦痛(totalpain)をコントロールすることになり,心理的,精神的,社会的,またはスピリチュアルな面から良い状態を目指すことにつながる.

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