緩和ケアマニュアル
134/172

心不全入院中が適切と考えられる.心不全治療には予後改善を目的とした治療と症状緩和に直結する治療がある.末期心不全の多彩な症状のうち,体液貯留による症状には利尿薬,臓器低灌流による症状に関しては静注強心薬がそれぞれ症状の改善に有効であり,これらの治療継続は緩和治療としての意味を含んでいる.そのためStageDの心不全に対する緩和ケアは心不全の症状緩和につながる治療を残し,合わせて一般的に緩和ケアに使用される薬剤を心不全病態に注意しながら使用するのが望ましい.末期心不全における身体的・精神的苦痛はがんに匹敵すると言われており,多岐に及ぶ症状に合わせたケアが求められる.⑴ 心不全末期の身体・精神症状 1)呼吸困難 呼吸困難は心不全患者でもっとも多く認められる症状である.症状倦怠感痛み悪心・嘔吐呼吸困難不眠せん妄・認知機能障害抑うつ不安発生率(%)42~8214~78 2~4818~8836~4815~48 6~59 2~49122

元のページ  ../index.html#134

このブックを見る